被害者と被害者と加害者、そして傍観者 ページ19
エレベーターから現れた少年と少女──駆堂アンヤさんと伊奈葉ヒミコさんというらしい二人は、はじめは警戒して、あるいは怯えていたものの、やはり空腹には抗えないらしく、ご飯を食べてくれた。
うんうん、男子高校生の食欲は素晴らしいな。ベーコンを追加で焼いたが、それも平らげてしまった。
奇抜な色をした味噌汁は……うん。ちゃんと食べれることを説明すると、恐る恐るだが食べてくれた。
それに、伊奈葉さんも打ち解けてくれて良かった。人見知りっぽかったから心配だったが。
「むぐ、すごく美味しいです……！ヒナユリさん、お料理上手なんですね」
「そんなことないですよ、慣れてるだけですから」
「普段から料理するんですか？」
「ええ、まあ、一人暮らしでして」
高校生になって一人暮らしを始める前から料理はよくしていたから、だから得意なだけだ。料理のレパートリーはそれなりに多い自信がある。
キッチンで新しくベーコンエッグを焼きながら、食事をする二人を眺める。
……うーん、対称的な二人って感じだな。伊奈葉さんは、口の乱暴な駆堂さんのことは苦手そうだ。まあ、人見知りっぽいし、まだ中学生だし、仕方ないか。
「ごちそうさまでした。すごく美味しかったです」
「ごちそうさん、……美味かった」
「はい、お粗末さまでした」
二人が持ってきたそれぞれの食器を水につけて、真新しいスポンジで洗う。
ありがたいことに伊奈葉さんがお手伝いを申し出てくれたけれど、遠慮しておく。きっといきなりこんなところに来て、伊奈葉さんも疲れているだろう。
そうして洗い物を終えて、もうすぐ皆さんも起きてくるだろうという時間になったとき───思い電子音を立てて、エレベーターが開いた。
「おや、こちらにいらっしゃいましたか。ゲノムタワーにようこそ──駆堂様に伊奈葉様。そしておはようございます。お早いですねえ、鳴宮様」
「おはようございます、パカさん」
ひらりと手を振ると、表情はわからないが、パカさんは手を振り返してくれた。なかなかにノリの良い運営だ。好感度が高い。
私がのほほんとそんなことを考えていると、二人──特に、駆堂さんの雰囲気がひどいことになっていた。なんというか、そう──敵意。
けれどパカさんは雰囲気のひとつも変えていない。そして私は、初めてパカさんに会った時のことを思い出す。
───そうして、パカさんは語り始める。今、私達が置かれている状況を。
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kima(プロフ) - 海獣さん» コメントありがとうございます。続編はある程度書いてから投稿する予定なので、少し待たせてしまうことになると思いますが、読んでいただけると嬉しいです。 (2022年10月22日 13時) (
レス) id: 6fedac0470 (このIDを非表示/違反報告)
海獣(プロフ) - マジで最高でした！！続き楽しみに待ってます！！ (2022年10月21日 23時) (レス) @page42 id: b62edcffd1 (このIDを非表示/違反報告)
kima(プロフ) - なーさんさん» コメントありがとうございます。とても励みになります。更新ペースがすごく遅いですが、投稿をやめる予定はないので、気長に待っていただけると嬉しいです。 (2022年8月22日 1時) (レス) id: 6fedac0470 (このIDを非表示/違反報告)
なーさん(プロフ) - 個人的にめちゃくちゃ好みです！！更新頑張ってください！ (2022年8月21日 15時) (レス) id: 64a4afe500 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kima | 作成日時：2022年5月23日 9時
