なお、男子校に通っている模様 ページ8
一階ずつ手分けして回ってみたが、特に手がかりはなかった。……あえて言うのなら、キッチンや温泉、それぞれの個室など、住むのに十分な環境が揃っている、くらいだろうか。
五十階よりも上は、立ち入り禁止のテープが貼られていたのでやめておいた。何があるかわからない。
「『忍霧』『路々森』『逢川』『鳴宮』は私達のことでしょうけど……。『入出』『更屋敷』『駆堂』『伊奈葉』『鬼ヶ崎』って、もしかして、他にも人がいるってことなんですかね」
「その可能性はあるだろうね。まだ森にいるのか、それとも運ばれてくる時間が異なるのか……それは定かではないが、部屋があるのならほぼ確実と言って良い」
こんな訳のわからない状況に置かれる人間が、まだあと五人もいるとは。すごく可哀想だ。朝起きたと思ったら森って、衝撃と混乱がやばいと思う。
「……やっぱり、その人達もナカノヒトゲノムのプレイヤー、なんでしょうか」
「そうだろうな。俺達の共通点が、今の時点でそれしか思い当たらない」
「ナカノヒトゲノム自体、誘拐のために作られたゲームなのか、それともゲームのシステムに乗っかってみただけなのか。そこも気になりますね。……あ、忍霧さん、頭に葉っぱついてますよ。ちょっとじっとしてて───」
くださいね。
そう続けようと頭に手を伸ばす。
忍霧さんの頭には、小さな若草色がちょこんとついている。森を歩いている時か、眠っていた時か、くっつけてしまったのだろう。
あと数センチでふわふわしてそうな銀髪に手が届く。そんな距離まで近づいた時───
「…………ッッ！！」
なんか……ものすごい勢いで、のけぞられた。
どうしよう、私のプレパラート並みに脆い心が泣きそう。
………いやでもこれ、さっきまでの言動と総合して考えると、もしかして、
「……女子、苦手だったりします？」
「違う、断じて違う」
「いや説得力皆無ですよ。しかも、女子が苦手じゃないなら、単純に私が嫌いってことになるんですがそれは」
「違ッ……！鳴宮のことが嫌いな訳じゃ、」
良かった。これから生活を共にするかもしれない、もしかしたら仲間と呼べるような関係性になるかもしれない人に嫌われているのは、かなりハードルが高い。
そうして話している時、唐突に背後から拍手の音が鳴った。逢川さんを除く全員が振り向く。
そしてそこには────
アルパカの被り物をした、男が立っていた。
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kima(プロフ) - 海獣さん» コメントありがとうございます。続編はある程度書いてから投稿する予定なので、少し待たせてしまうことになると思いますが、読んでいただけると嬉しいです。 (2022年10月22日 13時) (
レス) id: 6fedac0470 (このIDを非表示/違反報告)
海獣(プロフ) - マジで最高でした！！続き楽しみに待ってます！！ (2022年10月21日 23時) (レス) @page42 id: b62edcffd1 (このIDを非表示/違反報告)
kima(プロフ) - なーさんさん» コメントありがとうございます。とても励みになります。更新ペースがすごく遅いですが、投稿をやめる予定はないので、気長に待っていただけると嬉しいです。 (2022年8月22日 1時) (レス) id: 6fedac0470 (このIDを非表示/違反報告)
なーさん(プロフ) - 個人的にめちゃくちゃ好みです！！更新頑張ってください！ (2022年8月21日 15時) (レス) id: 64a4afe500 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kima | 作成日時：2022年5月23日 9時
