35話:あの世 ページ36
私は自分が死んだことを信じられず、
しばらく川の前でうずくまっていた。
『‥‥うっ、うぅ‥‥』
もう泣きたくないのに涙は止まってくれない。
私の想いは本当に墓場まで持って
来てしまったようだ。
?「おーーい!A!!」
?「Aちゃーーん!!」
何処からか私を呼ぶ声が聞こえた。
誰かいるの___?
あたりを見回してみると川の向こうに
2人の人影が見えた。
目を凝らして見てみると、懐かしい人たちがいた。
『‥‥っ、理子姉‥?‥‥雄兄‥?』
2人は川の向こう側で手を振っていた。
私は驚いて涙が止まってしまった。
理「久しいな!A。」
雄「相変わらず泣き虫だね、Aちゃん。」
2人ともあの頃から変わっていない。
会えたのが嬉しくて、また涙が溢れて来た。
『__っ理子姉、雄兄!!』
私は2人のところに行きたくて川を渡ろうとした。
理/雄「「来るな!!A/ちゃん!!」」
__ビクッ__
『え‥‥?何でなの‥‥?』
2人は急に大声を出した。
私は驚いて、川に片足をつけたまま止まった。
理「__ここは生死の狭間。
川を越えるとあの世だ。」
雄「Aちゃんは死んでない。
まだ戻れる。早く戻るんだ。」
__私はまだ死んでない?
『__でも理子姉と雄兄と離れたくないよ‥‥。
せっかく会えたのに__。』
理子姉は、1日しか遊んだことしかないが
大切で大好きな人だった。
雄兄は、建人兄とよく一緒に遊んでもらった。
本当のお兄ちゃんみたいだった。
2人が亡くなったと聞いた時は、
悟様に抱きつきながら泣きじゃくった。
まだ子どもだった私には、信じられず
1ヶ月は泣き続け、皆に心配された。
多分その時から「人の死」が極端に怖くなった。
自分が倒れても他人を救えるならそれで良いと
思うようになった。
それぐらい2人の死は、私に大きな影響を与えた。
理「私達はずっとA達のことを見ているよ。」
雄「Aちゃんがいなくなったら、
五条さんや仲間が悲しむよ。
早く戻った方が良い。」
2人は泣きじゃくる私を微笑みながら見ていた。
『__また会える?』
涙で2人の姿は、ぼやけている。
理「Aがきちんと人生を謳歌したらね!」
雄「そうしたら、また一緒に遊ぼう!」
『__っ、うん!!』
それを最後に私の視界は暗闇へと変わった。
__2人とも大好きだよ__
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作者名:きのこの森 | 作成日時:2020年5月5日 10時