12話：呪術実習（8） ページ13
病院内
五「問題ないってさ、真希も子どももAも
まぁAは熱が出てるけど。」
僕は結果が出るまで廊下のベンチで
待っていた憂太に言った。
すると憂太はホッとした表情を浮かべた。
乙「よかった‥」
でもその顔はどこか晴れていない様子だ。
僕は気になり憂太に尋ねてみた。
五「何かスッキリしない顔だね。」
乙「‥‥初めて自分から里香ちゃんを呼びました。」
憂太は自分の左手の薬指の指輪を見ながら言った。
五「そっか、一歩前進だね。」
乙「少し思い出したんです。」
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
＿ある夏の日＿
里「約束だよ。
大人になったら里香と憂太は結婚するの。」
乙「いいよ
じゃあぼくらはずーっとずーっと一緒だね。」
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
憂太は昔、里香とした約束を思い出しながら言った。
乙「里香ちゃんが僕に呪いをかけたんじゃなくて、
僕が里香ちゃんに呪いをかけたのかも
しれません。」
五「これは持論だけどね＿、
愛ほど歪んだ呪いはないよ。」
僕がそう言うと憂太は、泣きそうな顔をした。
五「‥‥先生。
僕は呪術高専で里香ちゃんの呪いを解きます。」
憂太が決意した顔で左手の手首を持ちながら言った。
五「そっか、いいんじゃない？
頑張りなよ。」
乙「はい！
そういえば、Aさん本当に大丈夫ですか？
禅院さんがこの前倒れたばかりって
言ってたので‥。」
憂太が心配そうに聞いてきた。
五「んー、またしばらくは目を覚まさないかもね。
Aの反転術式は強力だけどその分
本人への負担が大きい。」
乙「そうなんですか‥‥。
今回、子ども達の治療をまとめてやったんです。
でも途中から本当に苦しそうで‥‥。 」
憂太が両手を膝の上で握り締めながら言った。
一応無理するなって言ったんだけどな＿。
五「＿＿憂太が来る2週間前に
1年生はある任務へ行った。
その任務の途中で棘と真希が大怪我をしたんだ。
Aは反転術式の治療を本当は同時に1人しか
できなかった。」
僕は、憂太に2週間前の任務について話し始めた。
憂太は静かに僕の話に耳を傾けた。
五「でもAは無理やり2人同時にした。
その結果3日間高熱が続き意識が戻らなかった。
まぁAのおかげで2人は助かったんだけどね。」
乙「そうだったんですか‥‥。」
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作者名：きのこの森 | 作成日時：2020年5月5日 10時
