＊はーち＊ ページ10
僅かに空気が冷たく感じた。
重く、のしかかって来るような。そんな空気。
「久しぶり？」
冷ややかな声をあげたのは杏だった。
「な、何怒ってるの杏ちゃん。あの子のことは」
「黙れハゲ。その口今すぐ縫い付けてやろうか」
銃口を“彼”にむかって構える杏の瞳には闇が映っていた。
「ちょ、ちょっと杏ちゃ」
「あんた達が、あんた達がｯ！！！」
強烈な発砲音は、空気を振動させて。
「っは……は……は………」
「………………………………」
“彼”は動かなくなった。
「杏、ちゃん」
「……おねーさん、私……わた、し…！」
ガクンと膝を折った杏に、慌ててAは駆け寄る。
Aが黙って杏を抱き締めると、抱き締め返してくれた。
嗚咽を部屋に響かせて。
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「落ち着いた？」
「…ん」
腫れぼったい目を擦りながら、そう返事を返されたAはにこりと笑った。
「そ、よかった。」
「…うん」
どうやら死者はもう一度殺されてしまうと完璧に消滅してしまうらしく、ここに“彼”の姿はなかった。
「ふー…さて、これからどうしようかな。
私、この病院の間取り全然わかんないからなぁ」
あはは、と苦笑するAにちらと目を向けて杏は問う。
「おねーさんは、何処まで見たの？」
「一階…はほぼ素通りしたし、二階もこの部屋だけかな」
「ふーん…。わかった。
まずこの病院は地上三階と地下一階、併せて四階建ての割りと小さな病院なの。
一階にはレントゲン室や診察室、外に資料室なんかがあった筈。
二階と三階は主に入院棟。三階には院長室があって、あと屋上と、地下の手術室とリハビリセンターみたいなものがあるの。
わかった？」
「うん、実際に行かなくちゃわからなさそうだね。」
「そうだよねぇ…」
クスクスと笑みを溢しながら、杏とAは面白そうに笑った。
「じゃあ、私を案内してくれないかしら？」
「勿論ですよ、お嬢様？」
先程の空気は消え去り、和やかな空気は新たな道へのスタートを切った。
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海葉(プロフ) - るめさん» ありがとうございます！ 頑張ります！(^ω^Ξ^ω^) (2015年7月8日 21時) (
レス) id: 3051c06970 (このIDを非表示/違反報告)
るめ - こういう系大好きですっ！ 更新頑張ってください！！！ (2015年7月5日 20時) (レス) id: 4da09b781e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茶黒猫 | 作成日時：2015年5月21日 20時
