*ごーぉ* ページ7
パンッと響く破裂音。
続けて金属音。
放っておけばやがて土に還るプラスチック製の弾を拾いあげると、後ろから乾いた拍手。
「凄いね、やるじゃん、おねーさん。」
けらけらと笑いながら、でも尊敬しているように。
今しがたAが撃っていたモデルガンを貸してくれた張本人はー・・・
杏は手を叩いていた。
「モデルガンでも結構重たいんだね…。」
「まーね。にしても、おねーさん命中率高すぎだよー。
私、尊敬する。初めてでここまでって凄い。」
そう言いながら、ひしゃげて落ちている空きカンを拾い上げた杏。
ちなみに何故『おねーさん』と呼ばれているのかというと、先程自己紹介した際にAの方が歳上であることが発覚したからだ。
敬語を使おうとした杏を必死に止め、『じゃあ、お姉さん呼びならいいよ』と妥協したのだった。
そして現在。
一応、念のため。
モデルガンの講座を開いて貰っていたのだ。
理由は単純に、使い方を知らないから。
ペアを組んだ二人のうちどちらかが、
一丁しかない銃を撃たなければいけない状態になった場合の事を考えての考慮だった。
(そんなマヌケなことはしないと杏は怒っていたが)
そんなこんなしながら少し練習を重ねると、マトモに…否、それ以上の命中率で撃てるようになったA。
今後撃つときがくるかは別として。
銃を杏に返し、ふと窓の外を見る。
日は傾き、光はもう少しで閉ざされてしまいそうだった。
「(あれ、もうそんな時間…?)」
そう思い、ここ{廃病院}に入る前から圏外だったタッチパネル式の携帯をポケットから出す。
携帯内のデジタル時計は、正しく時間を刻んでいた…が。
まだ午後五時程を示していた。
「ここ山奥だから日が沈むの早いの。」
横からヒョイと首を出した杏はそう言った。
「ちなみに日が沈むとアイツらの動きも活発になるから気をつけてね。」
という豆知識も残しながら。
「…アイツら?」
「そ、アイツら。さっきみたいなやつ。
あれは子供だったけど、タチ悪いのもいるから気をつけて。」
先程の子供の事か、と考えるとゾワリと背筋が粟立つ。
たた、“タチ悪いの”に引っ掛かりを覚えた。
それには未だ遭遇していないのだから。
「…タチ悪いの、って?」
「あー…ここね、子供だけじゃないの。
例えば看護」
トントン、
トントン、
控えめなノック音が言葉を遮る。
杏が焦るのがわかった。
『ふ せ て』
.
背筋が粟立った。
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海葉(プロフ) - るめさん» ありがとうございます! 頑張ります!(^ω^Ξ^ω^) (2015年7月8日 21時) (レス) id: 3051c06970 (このIDを非表示/違反報告)
るめ - こういう系大好きですっ! 更新頑張ってください!!! (2015年7月5日 20時) (レス) id: 4da09b781e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茶黒猫 | 作成日時:2015年5月21日 20時