＊いーち＊ ページ3
始まりは、誕生日。
幼い頃から左腕にあった刻印のような痣が、15歳になった誕生日から。
だんだんと濃くなっていった事が始まりだった。
痛みはないが、青紫色が段々と黒へ変色していくのをみるのは些か辛かった。
そして、現在。
本庄Aはｰ･･･
.
人里離れた、古い廃病院へと来ていた。
数ヵ月前の会話を思い出しながら。
＊
〜数ヵ月前〜
「…廃病院？」
「そ。廃病院。
隣の県の…山奥だったかな？そこにあるんだって」
数日前までチームメイトだったクラスメイトは、嬉々とした表情でそう語った。
「…でもそれ、私の相談と関係ないんじゃ……」
「なに言ってんのよ。関係あるかもしれないでしょ。
距離的には遠くても、遠征で鍛えられた私たちに越えられない距離じゃないじゃん？」
どう？とウインクをしてくる友人に、Aは考える。
「…でも…」
「それにね、そこに一回行った子には呪いの痕が残るとかいう噂なんだよ？
ただ行っただけでは大丈夫なんだけど、なにかしたら呪われるらしくて。
ま、優等生のAが何したかって言われると思い当たる事ないけど」
ま、行ってみる価値はあるんじゃないかな。
その言葉は、少しAを乗り気にさせる。
そして。
「…どこにあるか、教えてくれないかな」
＊
多少のノリも含まれてはいたんだけどなぁ…しかも来たことないんだよな、まず…と、少しの後悔を含みながら歩を進めるA。
廃病院は、建造物としては形を留めていて、病院だとはわかる構造だったのだが…
壁には亀裂が走り、窓だったと思われる四角い間にもガラスなどははめこまれてはいない。
稀にはめこまれている箇所はくすみ、割れていた。
まだ明るい時間だというのに、酷く恐ろしく感じられる建物。
「…なんか怖いな…うん…」
一人である事を認識しないために呟いた言葉だったが、それが余計に恐怖感を煽った。
「(…善は急げ、だよね。)」
ｰ･･･こんなとこで立ち止まってちゃ、ダメだ。
そう自分に言い聞かせ、廃れて半開きになっていたドアに体を滑り込ませるAは、気づくことはなかったのだった。
二階から自分を見下ろしていた少女の姿に。
『…見つけた。』
その声と同時に。
ドアと鍵が音をたてて閉まった。
.
.
.
.
『来タﾝだ。ヤット。』
『コﾚﾃﾞぼくらハ寂しクﾅイね』
.
『先生モ ヨﾛコンデ ｸレﾙﾊズ』
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海葉(プロフ) - るめさん» ありがとうございます！ 頑張ります！(^ω^Ξ^ω^) (2015年7月8日 21時) (
レス) id: 3051c06970 (このIDを非表示/違反報告)
るめ - こういう系大好きですっ！ 更新頑張ってください！！！ (2015年7月5日 20時) (レス) id: 4da09b781e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茶黒猫 | 作成日時：2015年5月21日 20時
