*じゅーう* ページ12
少年が休憩室に閉じ込められてから数時間が経過していた。
鳥目である少年に暗い休憩室の細部は見えず、なんとかドアだとわかった場所を蹴りつけては諦めを繰り返す。
ドアは蹴りつければガシャガシャと派手な音を発てるが、ガラスが割れる気配もなく、壊れる気配もない。
誰かがここを訪れる事は有り得ないし、ここに来たのも誕生日以来広がるアレのせいなので、実は誰にも言わずに出てきてしまった。
家族に散々行くなと言われた禁断の場所に行く訳だし、アレの存在を家族に話せば過剰に反応するのは目に見えている。一度聞いたことがあるが、母はヒステリックに叫び、父にはこれでもかというほど怒鳴られた。
そんな両親に行ってきてもいいかなどと聞くのは自分で首を絞めるような行為。
だがそれを悔やんでいるのもまた事実。
一言だけでも言えば良かった。それが本音。
「クッソ…開けよ!なんなんだよ!!」
勿論ドアから返事はなかった。
.
.
.
.
.
.
〜同時刻
「んー…ここは開かないね」
ドアノブを掴んだAから、悩ましい声があがる。
「休憩室?開かないの?」
それに杏は即座に反応し、横からヒョッコリと顔を覗かせた。
「うん。鍵閉まってる」
「えー…おかしいなぁ…」
「何が?」
「え、あ、いや、この前見たときは開いてたから…。鍵、違う部屋にあるのかもね」
杏の言葉に、Aは納得した。
「じゃあ、鍵探しだね。杏ちゃんの方は何か収穫あった?」
そう問えば、ニンマリと笑う杏の姿。
手にはネーム板の付いた鍵。
「ふふん♪レントゲン室の鍵だって。
カウンターからちょこっと拝借した」
「おお。じゃあレントゲン室?」
「うん。ってもおねーさんがここから出るための何かがあるとは思えないけどねー」
苦笑しながらマフラーを翻す杏。
頼りになるなぁと思いながらもその背についていき、レントゲン室。
勿論鍵はスルリと入り、ドアノブはガチャリと回る。
「邪魔しまーす」
「お邪魔します」
何故か丁寧(?)に入る杏にならい、Aも丁寧に言葉を述べて足を踏み入れる。
中は薄暗く、器具は埃をかぶっていた。
「うっわ見てこの台」
手をついた瞬間にその汚さに気づいたのか、ぱっと手を避けそう口にした杏。
確かに台の埃は厚く、逆に綺麗なものだった。
「………あれ?」
突如感じた違和感。
「おねーさんこれ見て」
「あ、うん」
違和感の正体は、掴めないまま。
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
海葉(プロフ) - るめさん» ありがとうございます! 頑張ります!(^ω^Ξ^ω^) (2015年7月8日 21時) (レス) id: 3051c06970 (このIDを非表示/違反報告)
るめ - こういう系大好きですっ! 更新頑張ってください!!! (2015年7月5日 20時) (レス) id: 4da09b781e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:茶黒猫 | 作成日時:2015年5月21日 20時