*きゅーう* ページ11
いつ頃からだっただろう。
自分の未来に希望が持てなくなったのは。
いつ頃からだっただろう。
全てが嫌味に見えてきたのは。
ボクより長く生きる事ができるのに。
ボクより多く経験ができるのに。
どうして苦しい顔をするの。
どうして死にたいなんて言うの。
どうして自ら命を絶つの。
始めこそそんな考えだったけど、少し歳を重ねるごとに広くモノを考える事ができるようになった。
今までの考えは偏りすぎていたと自分を戒めた。
ボクにはボクの生き方がある。
上にいた、交通事故で怪我をしたお姉さんや、お父さんが遊びにきてくれた。
隔離された部屋だったけど、余生を少しでも楽しく生きようとした。
ただそれだけなのに。
いつから歯車は噛み合わなくなったんだろう。
始めは……確か、ボクの……………
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「ここだけ少し離れてるね」
ツッ…と壁をなぞるAに、杏は答えた。
「そこ、隔離病室。病棟って物が建つような土地じゃないからね、隔離しなくちゃいけないヒトはその病室だったの。
まあ、使ったのは後にも先にも一人だけだったけどね」
ノブを捻っても動かないドアには鍵がかかっているようだった。
「後にも先にもって?」
「そこ、どうやら当時の村長の子が入院してたらしいよ」
「へぇ、詳しいんだね」
「っ、ま、まぁね!?」
いきなり慌てる杏に、Aは首をかしげる。
「どうかした?」
「いや、別に。誉められるのに慣れてないだけだから気にしないで!」
顔を覆う手から隠れ損ねた耳は赤く染まり、
確かに恥ずかしいのだとわかる。
「そ、そこ開かないんだよね!!
後回しにして一階から探索しよ、おねーさん…」
によによとしながらうつ向く杏は、一階へ下りるための階段へ急ぐ。
Aはそんな杏を追いかけ、ふと振り返った。
「…………………………?」
「おねーさん?」
「あ、ううん、なんでもない」
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『……やだ、置いていかないで』
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小さな声が、廊下に溶けて消えた。
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「…開け、よッ!」
ガシャンッとドアだと思うところを殴りつけるも、派手な音が響くだけだった。
長い髪は汗で張り付いて、このうえなく邪魔で。
神経をすり減らして、何も見えない空間に座り込む。
何かがジャリ、と音を発てたが、座り込んだ場所は幸いソファだったようだ。
「はぁー………鳥目って厄介だな…」
休憩室に閉じ込められた少年は、一人呟いた。
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海葉(プロフ) - るめさん» ありがとうございます! 頑張ります!(^ω^Ξ^ω^) (2015年7月8日 21時) (レス) id: 3051c06970 (このIDを非表示/違反報告)
るめ - こういう系大好きですっ! 更新頑張ってください!!! (2015年7月5日 20時) (レス) id: 4da09b781e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茶黒猫 | 作成日時:2015年5月21日 20時