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手のひらに乗るほどの器に液体がはられており、中心には小さな亀の形をした部品が浮かんでいる。


ウソップ「なんだこれ……?」


それは機械好きのウソップでも見たことのないものだった。


「わぁ……可愛い」


Aもそのアイテムを見て微笑んだ。


老婆「亀ポースといってな……この亀が向いている方向に進めば、島に帰れるというわけじゃ」

ウソップ「じゃあ永久指針と同じなのか?」

老婆「実はな……わしの島はどんな記録指針も指してくれんのじゃ」

ウソップ「永久指針が使えない……?どういうことだ?」


「知らん。考えたこともないでな」老婆はウソップに答えると、つづけた。


老婆「わかっとるのは、この亀ポースがないと島へもどれんいうこと。だから、これだけは肌身離さず持ってるんじゃ」

ナミ「よくわからない島ね……」


ナミが怪訝そうな顔をした。どんな記録指針も指さない島──


ルフィ「いやぁ、期待させるものがありますなぁ」

「いやいや、違うだろ」


そういったルフィにツコッミを入れるA。
もちろんルフィは『金の王冠』の実在を信じていた。
亀ポースという特別なアイテムがあるということは、少なくとも老婆の島には、神秘的ななにかがある可能性があるのではないか。


ルフィ「決めた!船長命令だ!」


ルフィは全甲板に飛び上がると、羊の船首像の先を見やった。


ナミ「無駄骨くさいわよ?」


ナミがたしなめた。


ルフィ「それならそれ……別に急ぐ旅でもないし!それよりも宝だぜ!くれるっていってんだ!海賊がこれを見逃す手はないだろがよ!」

ナミ「ちょっとA。あんたからもなにか言って!」

「船長命令だからなぁこうなったらもう仕方ないよ。大丈夫!今のところは悪い予感もしないし平気でしょ」


その老婆の口約束を信じられるルフィの判断基準がナミには理解不能なのだが。島に伝わるという『金の冠』が実在するとして、いくら命の恩人とはいえ、それをやすやすと海賊にゆずるものだろうか。


ルフィ「うっしゃ、行くぜ!」


われらが〈ゴーイング・メリー号〉は、しかしルフィの意思とともにある。
船は船長の決意で進むのだから。そしてナミは航海士だ。彼女の役目は航海の安全をはかること。迷いは、ひとまず心の底に沈めねばならない。


ルフィ「その小亀のむいている方向に、舵を切れーーーー!」


ルフィは太陽にむかって叫んだ。

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シンア - 面白い更新楽しみにしてます。 (2016年3月25日 5時) (レス) id: cbcf508a8d (このIDを非表示/違反報告)
レン - 面白い!続きが気になります!! (2015年2月20日 2時) (レス) id: 264ef6263f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:のんきな子羊 | 作成日時:2014年8月17日 23時

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