検索窓
今日:19 hit、昨日:13 hit、合計:4,253 hit

10 ページ11

他の牝バに少し遅れてパドックに出る。

流石、オープン競争……今までに見たことないくらい、人がいる。
テレビで見てるのとは全く違う。別物だ。
重賞、G1にもなってしまったら、これのおよそ倍の人数になるんじゃないか。

観衆から感じるプレッシャーに耐えながら、ただパドックを周回していた。
すると、

向こうに、確かに見覚えがある顔があった。
そう、言わずもがなジャックドールさんだった。
「絶対見る」とは言っていたが、まさか現地に来るとは。
綺麗なその目と、私の目が合い、顔に熱が集まる。
ジャックドールさんは“私に”にこりと笑って、ひらひらと手を振った。

……思わず口を開けて立ち止まってしまった。



「…ねえ、歩かないんなら私前行くんだけど。後ろ詰まってるからね」

後ろにいた子が急かす。気付いて慌てて足を動したが、視線だけはどうしても、動かすことができない。
そんな私を面白がるように、ジャックドールさんは私とずっと目を合わせていた。

肌寒いはずなのに、汗をかいたような感覚がする。

ルーシーさんの画面越しのお褒めの言葉。
ジャックドールさんの優しい目線。

全部嬉しいはずなのに、どこか怖い。

期待に応えられなかったらどうしよう、負けて「所詮こんな程度か」と鼻で笑われたらどうしようと、
私の頭の中をネガティブな感情が蝕んでいく。
勿論、ルーシーさんやジャックドールさんはそんなことをしない方々だとは思っている。

……でも、どうしてもその不安は拭いきれなかった。


本バ場入場の準備をしなければならないため、地下バ道へ向かおうとしたその時。

「オレ、約束はちゃんと守るんだぜ?ちゃんと会いに来たろ、ね」
さっきよりも距離が近い。鏡で見なくてもわかる、私の顔は今真っ赤っかになっているだろう。

『は……はい!!』
「前名前聞くの忘れちゃってごめんね、レジーナちゃん…であってる?」

返事をするのすら恥ずかしくて、ひたすら首を縦に振る。
やったことはないけど、乙女ゲームの序盤の、主人公の名前を登録する場面。そんな感じがする。
……やったことはないけど。

「ん、レジーナちゃん。頑張っといで」
『ッエア…が、頑張ります……!』

少し奇声が漏れた。危ない危ない。
これはやるっきゃない。
プレッシャーに押しつぶされそうなのには変わらないが、私を応援してくれる人がいる…!

微かな希望を胸に、地下バ道へ向かった。

11→←9



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (17 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
26人がお気に入り
設定タグ:ウマ娘 , 競馬 , 夢小説
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

四葉(プロフ) - 続きを‥!続きをください‥ (6月20日 21時) (レス) id: 19cab74911 (このIDを非表示/違反報告)
まぬか(プロフ) - ナガツキさん» うわああ嬉しいです…!!香港カップ、武さんとのコンビも最高でした…… (2022年12月13日 15時) (レス) @page12 id: 89deb82449 (このIDを非表示/違反報告)
ナガツキ(プロフ) - 初コメ失礼します!!まぬかさんのジャックドールくんめちゃ好きです……香港カップもカッコよかったよジャックドール…… (2022年12月13日 14時) (レス) id: 5860629c14 (このIDを非表示/違反報告)
まぬか(プロフ) - 赤月さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます…!!三日坊主にならないように頑張って更新していきます…! (2022年11月15日 22時) (レス) id: 4faa123fed (このIDを非表示/違反報告)
赤月 - 設定の時点でめちゃめちゃ好みです!ジャックドールくん好き…… (2022年11月15日 20時) (レス) @page3 id: a401c70aaa (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:まぬか | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2022年11月14日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。