1 ページ2
＿＿季節はすっかり秋。肌寒いくらいの秋風が頬を掠める。
3番ゼッケンを付けた青毛の牝バが、朝の阪神に勝利をおさめた。
観客席で紙吹雪がぶわっと舞う。それが祝福じゃないことくらい、分かってる＿＿＿＿
レジーナプロミス、未勝利戦３回目にして初勝利。
観客へ向けてひらひらと手を振る。
しかし、破られたバ券を罵声とともに投げつけられるだけだった。
地下バ道へと足を運ぶ際、微かに拍手が聞こえてくる。
『……トレーナーさん』
拍手を贈っていたのはレジーナプロミスの担当トレーナーだった。
『トレーナーさん。私、勝ちましたよ。……脱・未勝利』
「うん、おめでとう。レジーナ」
レジーナに賞賛の拍手を贈ってくれるのは、トレーナーだけ。
……私が勝っても、観客席から拍手は巻き起こらない。
そりゃ、G1も重賞も出ていないから、なんなら未勝利戦を勝ったばかりだから……
中継で見るような、私が知っている拍手は起こらないかもしれない。
それでも、少しで良いから賞賛が欲しい。
贅沢は言わないから、だから……。
『……っは、』
いけない、寝てた……。
突っ伏していた机からすぐさま離れ、ジャージを羽織る。
シューズの蹄鉄に異常がないことを確認すると、タイマーを片手に栗東寮を出て学園内の芝コースへ向かった。
『自主練習、しないと…次走決まったんだし。気合い入れていかないと…』
暗くなり始めた空を背景に、勢いをつけて走り出す。
次走を想定した自主練習。
トレーニングでも教えてもらった効果的な練習方法……
うん、そこそこいいタイム。……私にしては。
『……よし、もう一本…。』
＿＿知らなかった。その時、憧れているあの栗毛ウマが私を見ていた、だなんて。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 26人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
四葉(プロフ) - 続きを‥！続きをください‥ (6月20日 21時) (
レス) id: 19cab74911 (このIDを非表示/違反報告)
まぬか(プロフ) - ナガツキさん» うわああ嬉しいです…！！香港カップ、武さんとのコンビも最高でした…… (2022年12月13日 15時) (レス) @page12 id: 89deb82449 (このIDを非表示/違反報告)
ナガツキ(プロフ) - 初コメ失礼します！！まぬかさんのジャックドールくんめちゃ好きです……香港カップもカッコよかったよジャックドール…… (2022年12月13日 14時) (レス) id: 5860629c14 (このIDを非表示/違反報告)
まぬか(プロフ) - 赤月さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます…！！三日坊主にならないように頑張って更新していきます…！ (2022年11月15日 22時) (レス) id: 4faa123fed (このIDを非表示/違反報告)
赤月 - 設定の時点でめちゃめちゃ好みです！ジャックドールくん好き…… (2022年11月15日 20時) (レス) @page3 id: a401c70aaa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
