第1話の松 ページ5
時刻は朝7時半過ぎ、赤塚市の市街地から少し離れたところにある和風な一軒家。そこの2階の一室で一人の少j……少年が目を覚ました。そして着替えを済ませて赤塚中学校の制服を着ると、階段をトントンと降りてキッチンへと行く。そこではすでに起きていた女性が朝食の準備を既に済ませてあった。
『おはようございます、松代さん』
松代「あら、おはよう。早起きなんて本当に偉いわね。うちの六つ子たちに見習ってほしいわぁ」
『まだ、学生ですから……松代さんに褒められるほどでは……』
松代「謙遜しなくても良いわよ。それに、お母さん、って呼んでもいいのよ？戸籍上では家族なんだし……」
『…………すみません、そこまでは……』
申し訳なさそうにそういう少年に松代は「無理して呼ばなくても良いわ。それじゃ、朝ご飯にしましょうか」と微笑んでキッチンにあるすでに2食分が用意されているテーブルへと少年を促す。そして、少年が席に着くと静かに朝食が始まった。違和感はあるだろうが、これが【彼のいつも通りの朝】だった。必要最低限の朝の会話をして、静かに朝食を食べ、食べ終わると無言で食器を片付けようとしたら松代が「大丈夫、私がするわよ」と言いそれに軽い会釈をして学校鞄を持ち、学校へ行く。これをもう6年も続けている。しかし、今日は何の因果なのか【いつも通りではなかった】
「あ、追華。おはよ」
『っ……どうも、チョロ松さん』
「……うん、学校頑張ってね、いってらっしゃい。母さん、今日の朝食は何？」
偶然、早く起きてきた義兄の松野チョロ松とキッチンを出たところで出会ったのだ。少年、追華は一瞬驚きで目を丸くしていたが、いつも通りの硬い表情に戻り、会釈をする。チョロ松は少し寂しげな表情を浮かべたが、そう告げてキッチンの中へと追華と入れ違いで入る。追華はチラリとそちらを見るが何事もないように家を出た。
sideチョロ松
母さんに兄弟たちを起こして来てと言われて2階へ上がる前に玄関を見てみたけど、すでに追華の靴はなかった。もう中学校に行ったのだろうけど……
「やっぱり、まだ信じてもらえないのかな……」
追華は過去のせいで極度の対人不信症になっている。けど、それは追華のせいじゃなくてとある敵(ヴィラン)のせいだ。もしも……自分が追華の立場だったら、と考えるとゾッとする。
色々考えてても仕方がない。とりあえず、まだ眠っているあいつ等を起こしに行こう。
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作者名：キラ | 作成日時：2017年9月21日 16時
