ムラサキ__《N.Ren》 (ページ47)

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ムラサキ__47 ページ47

your side

「…絶対、また俺は迎えに行くから」

震えた彼の声。

「絶対、次こそ茉唯を幸せにするから、」

「………今は、別れよう、」

そうして、私たちの恋は気づけば終わりを告げていて。

そこからは、流れるように両家の間でも勇太が話を上手くまとめて終わらせてくれた。

その時、私は
色んなことがあったけど、この人を1度好きになったことは
決して間違いではなかったと思えた。

たしかに傷つけられたし、沢山泣いた。
だけど、私のことを大事にしてくれていたのも、
私が彼を大切にしていたのも、
全部嘘ではなかったんだ。

勇太と最後に会った時、

「……本当に、ありがとう」

自然と出ていた、感謝の言葉。

「…俺の方こそ、ありがとう。」

勇太は私の目を見なかった。
彼はそのまま旅立ってしまった。

初めてデートした日のこと、
初めて手を繋いだ日のこと、
大好きだと言葉にしてくれたこと、
彼との楽しかった想い出が、今になって蘇ってくる。

父の会社との取引は続けてくれ、
私が家族から責められないよう
配慮してくれているのを感じ、

最後に沢山優しさを見せてくる彼のことを
私は少し、いやかなり、
ズルいと思ってしまった。

最後の最後に、
勇太は私の気持ちを尊重してくれた。

大好きだった。

もしあの時、何も間違えていなかったら、
私が屋上に行くことも、
永瀬くんに出会うことも、
決してなかった。

____さようなら、大好きだった人。

私は、気持ちをリセットしたくて
ある場所へと向かった。