ムラサキ__《N.Ren》 (ページ45)

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ムラサキ__45 ページ45

your side

私を抱きしめて、勇太は言った。

「俺はAとずっと一緒にいたい」

その真っ直ぐな言葉が、今はただ辛かった。

「家のためなんかじゃなくて、俺はAが好きだからAと結婚したい……それは最初からずっと変わってないんだよ…」

涙が止まらなかった。
どうして、今になってそう言ってくれるの。
もっと早く言ってくれなかったの。

もっと早くその言葉が聞けていたら、
私たち、こんなに泣く必要なかったのに。
お互いを傷つけずに済んだのに。

「俺にはAしか居ないんだよ、1人にしないで…」

あんなに今まで私に強く当たっていたくせに
今の勇太は本当に弱々しくて、

抱きしめる力が強くて、私は息が苦しくなった。

「分かった、分かったから落ち着いて、」

私は勇太をなだめた。

「そうやって言ってくれるのは本当に嬉しい、ありがとう」

これは本心だ。
だけど、それだけじゃない。
もう、私の中で答えは出ていた。

「だけど、もう自分に嘘はつきたくないの」

自分の気持ちに蓋をするのはもうやめる。

「相手のことばかりで自分を閉じ込めていた私を、
見つけてくれたのは永瀬くんだった」

初めて、私が素直になれる場所を与えてくれた永瀬くん
辛い時、いつも助けてくれたのは永瀬くん

「私、永瀬くんのことが好き」

勇太が目の前で泣き崩れた。
心が痛かった。私もずっと泣いていた。

お互い傷つけあって、私たちはボロボロだった。