ムラサキ__《N.Ren》 (ページ36)

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廉side

鳴り出したスマホの画面を確認すると
非通知の表示。

誰だ…？

「わり、ちょっと電話」

紫耀に断りを入れ、電話に出た。

「もしもし、あの、どちら様でしょうか？」

「な、永瀬くん…、あの、Aです……！えっと、」

「え、！？A…、？どうした！？」

聞こえてきたのは、Aの声。
少し息が上がっているようだった。

予想外の相手に、俺は驚いた。

「永瀬くん…、会いたい、今すぐ」

え？

俺は、聞こえてきた言葉が信じられなくて。

「え、会いたいって、え…？」

「ごめん急に…でも、でも」

聞き返す俺に、Aが言葉を続けようとしたのを確認して、聞き間違いでないことに気づいた。

「…待って、今どこおるん？」

「あ、えっと…○○公園の…公衆電話」

…俺の今の場所からちょっと遠い。
だけど

「そこで待ってて、すぐ行くから」

今の距離なんて、
海外にくらべたらなんてことなかった。

「…分かった、ありがとう…！」

そう言って、電話は切れた。

「紫耀、ごめん、俺、行かなきゃ」

横にいた紫耀は、全てを察していた。

「好きな子に会いたいって言われて、行かんやつおらんやろ。ほら、早く行ってきい」

「…ほんまにありがとう…」

紫耀の笑顔に、俺は安心した。
何があっても、Aの所に行って
絶対に気持ちを伝える。改めて決心を固めた。

「こっから走って…あの公園まで何分かかるやろ」

「あ、俺の家のママチャリ貸したる！こっから家すぐやし！」

俺たちは急いで紫耀の家に行って、チャリに乗った。

「廉ーーーー！！頑張ってなーーーーー！！！」

後ろから聞こえてくる紫耀の声。

待ってて、A。
君のわがままは、全部俺が聞くから。