ムラサキ__《N.Ren》 (ページ31)

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ムラサキ__31 ページ31

your side

勇太を拒絶した次の日。
勇太は、朝から迎えにこなかった。

まあ、当たり前か。
私は変に落ち着いていた。

1人で学校に行こうとすると、父が車で送ってくれた。

朝練をする運動部が目に入る。

最近学校でもずっと勇太と一緒にいたからか、
1人で居るのが新鮮に感じる。

拒絶した自分に感じているもやもやを
永瀬くんに話せたら

なんて思ったけれど、永瀬くんに連絡する手段はなくて。

…教室まで行ってみようか？

私は永瀬くんのクラスまで行った。
だけれど、さすがに早かったのか
永瀬くんどころか生徒の姿が無かった。

「……何しに来てんだろ、私」

なんて言いながら、永瀬くんの席を見つけて座った。

永瀬くんに会いたいと思って教室まできて、勝手に席に座っている自分、、、。

「いや、本当に何してんだ……戻ろ」

さすがに冷静になって立ち上がった時だった。
永瀬くんの机の中に入っていたらしいプリントに
手が当たり、落としてしまった。

「あ、やば……戻しておかなきゃ」

プリントを拾い上げた時、
そのプリントが連絡先の確認用のプリントであることに気づいた。

学校に提出する用のプリントか。

その時ふと目に入った、永瀬くんの携帯の番号。

それを見て、私は思いついてしまった。

「……あ、保存しなかったら大丈夫かな…？」

連絡先をスマホに入れていたら、バレて消されてしまう。

だけど、手書きなら。

私は、その番号を紙に書いて制服のポケットに入れた。

勝手に連絡先見て記録するなんて、
自分のやっている事にドン引きしてしまう。

だけれど、そのメモは、
何だか私にとって、お守りになるような気がした。

辛くなったら、この番号にかければ永瀬くんに繋がる。
それだけで、心が楽になる気がした。