ムラサキ__《N.Ren》 (ページ30)

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廉side

Aと久しぶりに会った次の日。

「今日は絶対授業飛ばせへんからな！！」

そう紫耀に言われて、1日ずっと教室に居させられた。

5限終わり、教室の前の方で女子たちが話している声が、
後ろの方の俺と紫耀の席まで聞こえてきた。

「え…じゃあ綾瀬川さんもってこと？」

「そうそう、先生に言ってたもん、2人でーって、」

「えーっ、すごいね、いよいよ夫婦って感じじゃん？」

綾瀬川…？夫婦…？
俺はその言葉が聞こえてきて、
何について話しているのか物凄く気になった。

しかし、俺は普段一切関わらないので、
聞くに聞けなかった。

すると、俺の横にいた紫耀がすっと立ち上がって
前に歩いて行った。

「え、なになに！なんの話ししてんの！平野も混ぜてや〜〜」

「あ、平野くん！聞いてよ〜〜」

あっという間に女子たちの中に入っていく。
紫耀はこちらを見て、ウインクしてきた。

…紫耀、もしかして、俺の気持ちに気づいて…。

Aへの気持ち、紫耀に話していなかったのに…。
紫耀の優しさに、俺は泣きそうになってしまった。

絶対紫耀に、俺の気持ちを話そう。
そう決めた。

数分後、紫耀が困った顔で俺の方に戻ってきた。

「紫耀、俺…、ごめん、言ってなかったのに…」

「それは全然ええよ、バレバレやったし。でも…、」

紫耀は言いずらそうに、目を右往左往させて、

その後パッと俺の目を見た。

「神宮寺と綾瀬川さん、転校するらしい」

え？

「それも、……海外に」