ムラサキ__《N.Ren》 (ページ17)

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ムラサキ__17 ページ17

廉side

昨日メッセージを早速送ってみると、明日いきなりだけどって呼び出された。

正直嬉しかった。出会ってまだ間もないが、
あんなに強がったり、
嘘をついて本心を隠そうとしていたAが、
俺を頼ろうとしてくれている。

屋上でAの話を沢山聞いた。

神宮寺のことが本当に好きだったし、すごく大切にしてくれていた。と話すAを見て、正直いい気分にはならなかった。

そんな過去があっても、今傷つけられていることに変わりはないのに。

それでも、色んな話をしてくれて、またAの本心に近づけた気がして嬉しかった。

「……沢山聞いてくれてありがとう」

お礼を言ってくるA。

「気にすんなって。俺どうせ呼ばれてなくてもここで1人で空見てるだけやし、」

そう返すと、Aは心做しか表情が柔らかくなって、

「……やっぱり、永瀬くんの前では素直に自分の感情を表現できてる気がする」

そう、嬉しそうに言うから。
単純な俺は舞い上がってしまって。
へへへ、と照れてしまっていた時。

Aは、俺の方を向いて

「ありがとう、永瀬くん。上手く言えないけど、こんな風に話せるのも、永瀬くんは何だか私にとって特別なんだと思う…！」

なんて、笑顔で言うから。

ああ、やっぱりそうなのか、俺。
神宮寺の話をされたらムカつくのも、
特別だって言われてこんなに嬉しいのも、

全部、Aのことを好きになってしまってるからか。