ムラサキ__《N.Ren》 (ページ16)

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your side

次の日

多勢の視線を感じつつも、なんとか今日は授業を受け終えた。

放課後、私は足早に屋上へ向かった。

扉を開けると、

「よ、お疲れ。先来てたわ」

私より一足先に着いていた永瀬くんがいた。

「ごめん、呼び出したのに待たせて」

「全然、俺が早くついただけやし。昨日の今日で早速呼んでもらえてなんか嬉しいわ。」

「いやいや、ごめんね本当に。」

「大丈夫やで。ほな、上のぼって横になろか。」

2人で空を見上げながら、私は色んな話をしてしまった。
昨日のメッセージを見て、私はつい永瀬くんに甘える選択をした。
両親が喜んでいて別れたいと言い出せないこと、勇太が変わってしまったこと、電話で言いくるめられたこと。

とにかく楽になりたい一心で、悲しみをぶつけてしまった。

永瀬くんはうんうん、と聞き続けてくれた。

話終える頃には夕暮れ時になっていて、オレンジと紫のコントラストが綺麗な空模様だった。

「……沢山聞いてくれてありがとう」

「気にすんなって。俺どうせ呼ばれてなくてもここで1人で空見てるだけやし、」

優しい顔で笑う永瀬くん。

「……やっぱり、永瀬くんの前では素直に自分の感情を表現できてる気がする」

こんな風に人に甘えられたり、嫌なことを嫌だと言えたのはいつぶりだろうか。

こんな風に居させてくれる永瀬くんは、本当に優しい。

「ありがとう、永瀬くん。上手く言えないけど、こんな風に話せるのも、永瀬くんは何だか私にとって特別なんだと思う…！」

口角を上げる意識など忘れるくらい、私は自然と笑顔になっていた。