ムラサキ__《N.Ren》 (ページ2)

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ムラサキ__2 ページ2

「あ、あのっ、怪我とかないですか……！？」

そう言って、女の子はずっと謝り続けている。

「いや、大丈夫やけど……」

女の子1人で潰れてしまうくらい、俺だってやわではない。

ホッとした表情を見せる女の子。

「ここに人がいるなんて考えてなくて、勢いよく登ったらバランス崩しちゃって……」

あー、そういうことか、と俺は納得した。
たしかにこの場所は案外狭く、
今みたいに２人いると、もう人は登ってこれない。

「まあ、確かにここ人来たりせえへんからしゃーないわ」

そう言うと、女の子はありがとうございます！と頭を下げた

.

「ところで、こんなところに来てどうしたん？」

ふと気になって、俺は女の子に聞いた。
こんな所にわざわざくる人が俺以外にもいるなんて、
普通に気になったからだ。

その時、女の子が一瞬顔を曇らせたのを
俺は見逃さなかった。

「あっ、言いたくなかったら別に言わ…んｯ」

俺が言葉を言い終える前に、
突然彼女の手が、俺の口を押さえた。

そして、手を離した後、しっ、と指を立ててきた。

またも突然のことに俺の頭は混乱してしまっていた。
でも女の子の行動から声を出すな、ということはかろうじて分かった。

その時だった。

パタパタ、という足音と
男女の笑い声が下から聞こえてきた。

…誰かが屋上に来たか？

音を立てないよう慎重に、そっと下を覗き込むと

2人の男女が、キスをしていた。