ムラサキ__《N.Ren》 (ページ42)

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ムラサキ__42 ページ42

神宮寺side

Aの両親から、
Aが家を飛び出していき
帰ってきていないと連絡があった。

「何ですぐ追いかけなかった……？」

俺は動揺していた。

「あの子のことなら………すぐ戻って来ると思って…」

「…もういい、俺が探す」

Aのことなのに、Aの両親の態度に腹が立ち、俺は舌打ちをして電話を切った。

嫌な予感がした。
永瀬廉と一緒にいるんじゃないか、
何となくそう思った。

俺は付き人たちと共に一晩中探した。

ようやくAを見つけた時には
もう夜が明けようとしていた。

いやに綺麗な、紫色の空だった。

「A…！！！やっと見つけた…！」

Aは、裸足で、靴を両手に持って
制服のまま、立っていた。

何故だろうか。
その時のAが、
今まで見てきた中で1番綺麗に見えた。

俺はAのところへ駆け寄った。

やっぱり、そこには永瀬廉がいた。
俺の中に、感じたことの無いような怒りと
嫉妬と、とにかくどす黒い感情が生まれた。

永瀬廉の方を見ると、目が合った。
やはり、俺の嫌いな目をしていた。

「……帰るよ、A」

俺はそう言って、Aの手を引っ張った。

車で、Aを俺の家へ連れて帰った。

車内で、Aはポツリと言った。

「…ごめんね」

俺は、何も言葉を返せなかった。
何で家を飛び出したのか、
何で永瀬廉といたのか、
永瀬廉と何をしていたのか

聞かない方が、いいんじゃないかって
きっと自分で分かっていたから。

どうして、こうなってしまったんだろう。

俺は車の窓に顔を向けて、静かに泣いた。