ムラサキ__《N.Ren》 (ページ4)

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ムラサキ__4 ページ4

女の子はまだ、大丈夫だから！と言って抵抗を続ける。

「顔に大丈夫じゃないって書いてある、さすがに無理あるわ。」

「それにあの場で俺ちゃんと黙ってたんやで？ちょっとくらい話してくれてもええんやないか？」

少しお節介かなとは思ったが、俺はこの時、興味が抑えられなかった。

俺の言葉に言い返せなかったのか、女の子は渋々といった顔をして、再び俺の横に座った。

「ん、ありがとう。……名前、そういやまだ言ってへんかったな。俺は永瀬廉。そっちは？」

「……綾瀬川 A。」

やはり無理をしていたのだろう。女の子は座った途端また泣き出し、鼻をすすりながら答えた。

「綾瀬川か。……苗字なんか長ったらしいなあ、Aって呼んでええ？」

「……別に、何でもいいよ」

少しぶっきらぼうに答えるA。

「じゃあ聞くけどAは……なんで泣いたん？」

単刀直入に俺が聞くと、彼女は目を伏せて、
言うのをためらっているのか、何も喋らなかった。

そんなに無理をさせて言わせるほど、さすがに俺も鬼ではない。

「あ、ごめんな、ほんまに嫌やったらやっぱええ…

「あのね、」

俺が止めようとした時、
突然フッと顔を上げて、Aは言った。

「……さっきの男の方、……私の彼氏なんだ」

風が、俺の肌を、髪を
スーッと、撫でていった。