ムラサキ__《N.Ren》 (ページ24)

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ムラサキ__24 ページ24

廉side

神宮寺に宣戦布告した日以来、
Aから連絡が一切来なくなった。

メッセージを送っても既読にならない。

「廉〜〜〜、ちょっと見てやあれ」

昼休み、紫耀と教室を出ると
少し先の方に、
Aと神宮寺が並んで歩いているのが見えた。

「なんか、あの2人最近ずっと一緒に居るみたいやで。あんな修羅場あった後に、仲直りどころかラブラブなるってどないやねん！」

「…はは、平和でええやん」

俺は適当なことを言った。嫌なものを見た。
俺は紫耀に断って、いつものように屋上に向かった。

……Aから連絡が来ない原因は、100パー神宮寺だ。

俺らは元々、ただAがしんどいことを吐き出して俺がそれを聞くだけの関係だった。

神宮寺が、Aにきちんと
向き合ってくれるようになったなら、

それはもう俺の出番は必要ないということである。

「もう、……会えへんのか？」

そんなの、納得が行かない。
まだ、Aに好きとすら伝えられていないのに。

元々不利だって分かっていた。
でも、俺が助けたい、笑わせてあげたいって
そう思っていたのに。
だんだん俺の前で素顔を見せてくれるAを見て、
もしかしたら、なんて。

神宮寺の横で、笑っているAの顔を思い出した。

その花のような笑顔は、綺麗なだけじゃなくて、
憂いをおびて儚くて、

あんなに傷つけた男の横で
どうして君は今日も花を咲かせている？

あんなに近くに居られるようになったのに
近づいてしまったばっかりに、今のこの距離が辛かった。

「A………会いたい、」

俺は誰にも聞こえないような声で
ポツリと、つぶやいた。

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