第百二十七話 最後の声 ページ19
A 「…あれ…？」
「…目、覚めた？」
目が覚めると、私は自分の夢の中にいた。
少女が私の顔を覗き込み、手を握って立たせてくれる。
その少女の姿は、今までのものとは違い、黒いワンピース姿だった。
…あれ、私、なんで夢の中に…？
そうだ、皆さんの魔力を集めて、敵に放ったんだ。
あれはどうなった？
私は勝ったの？
負けてしまったの？
村本 「お前、早く目ぇ覚ませ！このままやと…！」
中川 「みんな死んじゃうよ！」
A 「え…！？」
「…あれを見なさい」
空間の壁に、今外で起きている景色が浮かび上がる。
そこでは、私とアキナ牛シュタインさんは倒れた芸人さん達の山の中にいて、九馬さんと浅越さんだけが守りの壁でその山を守り、敵と戦っていた。
私に魔力を渡したから、もう何も戦う術がないのに、浅越さんと九馬さんは死に物狂いで戦っている。
彼らが負けたら、芸人達は全滅だろう。
勿論、私も死んでしまう。
…私は、失敗したんだ。
「…最期の技を使いましょう。
敵も十分のダメージを受けている。今しかない」
A 「そう、ですね…」
村本 「…何のことや」
A 「……」
最期の技。
それは私の命を犠牲にする技だ。
何も知らされていない村本さんは、私を睨むように視線で射抜く。
…言えるはずがない。
村本さんは優しいから、私が今からやろうとしている魔法を言おうものなら、すぐにあらゆる手を尽くしてそれを阻止しようとするだろう。
でも、もうこれしかないんだ。
A 「今まで、ありがとうございました」
村本 「なんやねん、お前、何する気やねん」
A 「…言えないです」
村本 「何隠しとるんや…！」
A 「ごめんなさい…」
村本 「お前……ッ！？」
村本さんと中川さんの体が透けていく。
私の脳内から、２人が消えている証拠だ。
このまま私があの技を使ってしまうと、村本さんと中川さんを巻き添えにしてしまうから。
私が、２人を追い出そうとしているのだ。
村本さんが私に手を伸ばす。
だが、その手も私の体をすり抜けてしまった。
村本 「…！」
A 「…ごめんなさい…！」
村本 「っ、くそ…！お前、死ぬなよッ！」
A 「…できません…」
村本 「死んだら、絶対に許さんからなッ！」
村本さんが早口に告げ、消えていく。
中川さんはそれを見届けた後、笑顔のまま私に手を振った。
…これで未練はもうない。
最期の技を、発動させよう。
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AKUTObymmk(プロフ) - ありがとうございます!!私もこれから、頑張ります笑リクエストございましたら、言ってください！本当にお疲れ様でした (2019年2月24日 10時) (
レス) id: 4990bace53 (このIDを非表示/違反報告)
フール(プロフ) - ありがとうございます！書き始めたばかりの頃、貴方様のリクエストがとても励みになりました！完結できたのもそのおかげです！ 小説、拝見いたしました！AKUTObymmkさんも頑張ってください！応援しています！ (2019年2月23日 23時) (レス) id: baf0519c25 (このIDを非表示/違反報告)
AKUTObymmk(プロフ) - お疲れ様でした!!私も今小説書いてるんですけど、大変ですよね笑笑本当に、完結おめでとうございます!! (2019年2月23日 22時) (レス) id: 4990bace53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フール | 作成日時：2019年2月18日 0時
