帰る方法とは ページ9
ここからの話の流れは速かった。
一旦ホテルに戻ってオーナーさんがお金を払って下さったり、朝になればオーナーさんの家にある物置き場を俺の部屋にして下さったり…。
とにかく俺が住めるように準備してくれた。
オーナーの家は開いている店の二階のある。
なんとまぁ素敵な家である。雑貨や小物を効率よく置いておしゃれな部屋だ。
俺の部屋も奥さんがインテリアをしたので、いろいろ飾られてあった。その、少なくとも成年男性が住むお部屋ではなかった。
オーナーさんと、その奥さんがいろいろやってくれたおかげで、今こうして部屋でくつろいでいる最中だ。
仕事は明日からでいいとおっしゃっていたのでお言葉に甘えて休んでいる。
しかし、ゴロゴロと遊んでいる場合ではないのだ。
此処は俺の住むところではない、悪魔で拠点だ。
２日前、この知らない世界にきてしまい、なんやかんやでいろいろあり、ここに住まわせてもらえた。
一刻も早く帰らなければ、現実世界で俺の立場がやばいことになってしまう。
バイトも授業も無断欠席をしたことで、俺がサボりの人だと思われ人への信頼を失ってしまう。
それだけではない、俺がバイトに来ないので先輩が不審に思い、連絡するが返事が来ない。
そうすると警察沙汰になってしまう。日本ではそういうことはよくある話である。ほんとに社会の人間として失格なので、事の発展が大きくならない事を願うばかりだ。
とまぁ話はずれたが今俺がすることと言えば帰る方法を見つけるしかない。…と結局同じ結論を繰り返し繰り返し考えて１時間がたった。
帰る方法なんてどうやって探すの？状態がずっと続いている。
だってさ、ココだってみんな生きているわけじゃん？
人に聞いて情報収集なんて急に「すみません、元の世界に帰りたいのですがどうやったら帰れます？」なんて言っても、この世界にいる住人たちからしてみれば「え、違う世界なんてあるんですか？！」てなるに違いないじゃん？
聞いたとして有力な情報は期待しない方がいいし、何より変な人だと思われるので嫌だ。
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作者名：クジラ | 作成日時：2019年5月1日 15時
