現実的に ページ7
俺は係りの人からキーをもらい部屋に入ってから、もらった靴も脱がずにすぐにベッドで寝ころび、仰向け状態になる。
「……」
さすがに疲れた…。
昨日まで確かに俺のマンションにいた。いつものように過ごして普通に寝たら、朝になって起きるとまさかの違う世界。今までのことを振り返ると急に不安になってくる。
帰れないかもしれない。もう両親や友人たちに会えないかもしれない。そんな焦燥感が頭の中に埋め尽くす。
明日もバイトだと思い出し、さらに焦りが募る。
やはり現実のことを考えないといけないのが辛かった。
おれが居なくなってしまったことでいろんな人に迷惑をかけてしまう。
いやもう今日はバイトがあったからすでに迷惑をかけてしまったか。
ああぁー、事の事態が大きくならないと願う。篠坂Aが行方不明、というニュースがないといいが。
この世界を楽しもう、とは思ったがやはり社会的現実的に考えなくてはいけない。
俺がここでやるべきことは、すぐにでも帰らなくてはいけないことだ。
帰る方法を調べなくては。
そう思ってきたら、少しやる気になった。やることが決まったことで、安心しいつの間にか深く眠りについていた。
深夜0時頃。自然に目が覚めた俺は、腹が減っていたことに気づいた。
そういえばここに来てから何も食べていない。何か食べるものはないかと探すが何もなかった。お金もないので買うこともできない。
あ、ちなみに宿泊代はのちに返すという約束で泊まらせてもらった。危なかった、ほんと。
しかしどうしようか。このまま何も食べないのはかなりキツイものがある。しばらく朝まで待つのもアレなので、せっかくだし夜中だが少し街中を歩いてみよう。
シーンと静まっている街。
なんて言おうか、暗い、寂しい。いつもなら夜でも街灯やビルの光で明るいし、帰宅中の人がいるのでまだ活気がある。
なんだろう、物足りない。
心の底から帰りたいと思った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 38人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：クジラ | 作成日時：2019年5月1日 15時
