思ったこと ページ6
おじいさんに地図を返してお礼をいう。
これからどう動くべきか…と、頭をフル回転して考えると、そういえば俺の読んでいた本で主人公のトリップ先が剣と魔法の世界だと思い出した。
ここも魔法の世界なのかと問いだしたいところだが、もしそうだったとして自分が魔法を使えない者だと認識されたらたまったもんじゃない、恥ずかしすぎる。
正直に話すのは難しいと判断し、止めておいた。ちなみにこの考えた時間、３秒。
これ以上おじいさんに迷惑をかけられないためここは一旦外に出ようと考え、おじいさんにお礼を言って店の扉を開けた。
しかしそこは見知らぬ場所である。どうしようもできない。先ほど異世界にトリップしてしまったことを自覚し、とうとう帰るすべを無くした俺はもう開き直ってここで生活しようではないかと思い始めた。
歩きながら外の風景をぼんやりと見る。相変わらず日本の風景ではなく、外国にいるのではないかと錯覚する街並みだった。
しかしながら、俺はマジで思うことがある。
トリップするならもっといい格好をして、お金もあるスマホもあるとかいろいろ準備してからが良かったと。
なんで起きたら違う世界なんだよ、あまりにも無防備すぎる。
とにかく、これからのことを考えよう。違う世界に来たわけだしいっそのこと楽しもうじゃなか。
ザ・異世界と思うような体験をしたい。例えば魔法の世界ならば魔法を使ってみたいという気持ちだ。我ながら幼稚だと思うがもう現実逃避だ、関係ない、暮らしてやる。
そう思ったら、やることがポンポンと浮かんでくる。まずは住む場所を探さなくてはならない。家は無理だからとりあえず今日はホテルに泊まろう。次にお金を稼ぐためにバイト探しだ。この二つを最初にやらなくては。
俺は近くの人にホテルは何処にあるのかを聞き、10分程度でそこに着いた。
ホテル内に時計があったので見てみれば午後３時になっていた。起きてからの時間は分からないが隋分の間彷徨っていたのかと呆れに近い気持ちだった。
さっさと町の人に聞けばよかったと後悔するが、父から知りたいことはまず自分で調べろと教わったので、これが染みついてしまっている。
しかし今回は、自分で調べるも何も異世界へ来てしまったのだからさすがに自分だけでは分からなかった。
(あれ、金稼ぐ方が先だよな…？)
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作者名：クジラ | 作成日時：2019年5月1日 15時
