協力関係。 ページ43
唐突にキスされて息も絶え絶えな私に、清隆はとんでもない爆弾を1つ落として先に歩いていった。
何なの………私の彼氏…………
肩で息をしながら何とか立ち上がり、平常心を保ちながら元の場所へ戻る。
清隆は鈴音さんを誘って、森の中を探索しようとしていた。
慌てて飛んでいき、私も行く!と追いかける。
一応迷わないように、と手渡された地図のような絵を右手に、清隆はズンズン先を進んでいく。
遅れないように足を動かす中、鈴音さんが息を乱しながら口を開いた。
「貴方が自分から行動するなんて、珍しいわね。」
「どうせ暇だからな、時間潰しだ。」
「偵察は良いけれど、私としてはあまり動きたくないわね。明確な目標も無く彷徨って、無駄な体力を奪われたくないもの。」
『鈴音さんの気持ちも分かるけれど、引き籠もっていても現状は変わらないでしょう?』
「それに…」
清隆は言いかけて、一旦口を噤む。
多分、龍園君のことを思い出しているのだ。
思考を巡らせてから、清隆が言った。
「それに、堀北がターゲットの1人になっているのは間違い無いだろうからな。」
鈴音さんは嫌なことを思い出したように、腕を擦って頷いた。
まず辿り着いたのは、Bクラスが占有するスポット。
水源である滝を手に入れているというのは、流石Bクラスと言ったところだ。
穏やかな空気が漂い、いつまでもここに居座りたくなるような場所だ。
「森の中には果物が色んな場所にあるし、海に出て魚も釣ってるかな。水は、滝があるから困らないし。」
そう言って私達を案内してくれたのは、帆波さんだ。
鈴音さんが、腕を組みながら呟く。
「流石はBクラス、想像以上に統率が取れているわね。」
最初は苦労したよ〜と帆波さんは苦笑いするが、それがもし本当ならば急成長も良いところである。
「一之瀬さん、私達は協力関係にあると思って良いのよね?」
「うん!私はそう思ってるよ。」
鈴音さんの疑うような言葉にも嫌な顔1つせず頷いた帆波さんに、声がかかる。
かけてきたのは、おかっぱ頭の眼鏡をかけた青年だった。
クラスメイトにしては随分と余所余所しい言葉遣いを鈴音さんが言及すると、帆波さんが彼の素性を話してくれた。
曰く、彼の所属はCクラスなのだそうだ。
だがそこで揉めたらしく、キャンプを追い出されたのだとか。
それ、本当に信用して良いの?
手伝いがある、と言って立ち去る帆波さんに手を振りながら考えた。
あのCクラスで、揉め事を起こすような人間には見えない。
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沙羅(プロフ) - 橋本ー!!!!ありがとうございます!この小説に橋本と龍園が出てくるだけで最高にテンション上がります!これからも応援してます! (3月27日 1時) (レス) @page22 id: e669b9fbcc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜 | 作成日時:2024年3月18日 18時