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第9話。 ページ23

見晴らしの良い外。
サラサラの砂が地面を満たす砂浜にて、私達Dクラスは平田君の指示の元、一堂に会していた。

「学校側から用意されたのは…8人用テント2つと懐中電灯2つ、マッチ1箱、人数分のアメニティが入ったバッグ、女子用の日焼け止め。」

真ん中に鎮座ましましている、必要最低限の物資。
生まれてこの方都会から出たことの無い生徒だって、何人も居るだろう。
そんな人間が多い中での、突然のサバイバルキャンプ。
混乱し、現実を受け止めきれていない生徒が多かった。

「これだけで、一週間…?」
「ガチの無人島サバイバルかよ…」

桔梗さんや池君がポツリポツリと言葉を零す中、私は清隆に背中をチョンと突かれた。
ん?と彼の方を振り向くと、視線で鈴音さんのことを見るよう促される。
言われた通りにすると、なるほど確かに彼女は何処かおかしかった。
燦々と太陽の光が降り注ぎ、風も大して吹いていないこの状況下。
寒い訳無いのに、彼女は両腕を組んで擦っていた。
まるで、冷えから身を守るように。
ふと、思い出した。
そういえば乗船した時から、鈴音さんはずっと腕を擦っていた。
最初はただ単に慣れない環境で、何処か警戒心を募らせているのだとばかり思っていた。
けれど、こうも同じ動作を続けられていると流石に異変だと言わざるを得ない。
恐らく、体調が芳しくないのだろう。
寒気が本格的になってきたのか、誤魔化しが効かない程の体勢だ。
今ならまだ、船に引き返すことは可能だろう。
体調不良で止む無く欠席、という形に出来る。
だが、そんな助言をしたとてそれを聞き入れる鈴音さんではない。
そんなに扱いやすい人間なら、元よりこんな苦労はしていないし。
多分、何でも無いと突っ撥ねる。
私達としては構わないが、恐らくこのサバイバルで鈴音さんは重要な責務を任されることだろう。
ここでリタイアされると、少々計画がズレる。
敢えて何も言わずに、放置しておこう。
清隆も、きっとこれを伝えたくて私のことをせっついたのだ。
いずれ彼女にも限界が来る、その時考えれば済む話だ。
私は、全て理解したと意味を込めて頷いた。

「食事は、自給自足。7日後の正午まで、炎天下のサバイバル…か。」
「でも、先生達言ってたよな。『海で泳ぐのもバーベキューするのも自由だ』って。」
「それは、試験専用の300sポイントを使えば出来ることだね。」

長い目で。→←---



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沙羅(プロフ) - 橋本ー!!!!ありがとうございます!この小説に橋本と龍園が出てくるだけで最高にテンション上がります!これからも応援してます! (3月27日 1時) (レス) @page22 id: e669b9fbcc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2024年3月18日 18時

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