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バカンスは。 ページ19

ジャージ姿なのは分かる、合理的だ。
これから外にいっぱなしになるのだ、制服では動きづらい。
けれど、私物まで没収というのは変だ。
学校が行う行事だからって、何も私物まで全て取り上げなくても良いのでは。
やはり、単なるバカンスじゃない。
先生達の前で整列しながら、1人気を引き締める。
まだ他の人々は、これが楽しい楽しいバカンスだと信じて疑っていない。
ならば、先々を予想して気を強く持つ者程この先が有利になる。
先手を打たずして、次世代兵器は名乗れない。
外は晴天、気温も上昇している。
あまり長居すると、また熱中症になってしまうのだけれど。
ふと、後ろに居る鈴音さんが気になったので小声で話しかける。

『…部屋に居たんだね、鈴音さん。』
「えぇ、本を読んでいたの。続きが気になっているけれど、私物の持ち込みが禁止されているなら仕方無いわね。」
『これが終わるまで、お預けだね。』

苦笑しながら返していると、茶柱先生が前に進み出て学生証端末を没収すると言い始めた。
代わりに、特殊な腕時計を身に着けなければならないらしい。
勝手に外せば、ペナルティが下るとか。
鈴音さんも何かしらの違和感はあったらしく、妙に慎重だと言った。

『うん、警戒しているね。』
「確かに。」

鈴音さんの隣に居た清隆も混じる。

「ただ海で遊ぶだけなら、ここまでしなくても良い筈だな。」

暫くして、Aクラスの担任が現れた。
メガホンで声を拡大させながら、教師が告げる。

「ではこれより、本年度最初の特別試験を行いたいと思う!」

ほらね。
身構えていなかった生徒達はこぞって首を傾げる中、鈴音さんだけが気を引き締めるように唇をキュッと結んでいた。
こっそり覗き込んでいた私は、順調にこの学校の仕組みを理解しつつある彼女の成長に笑みを零す。
大きくなってね、鈴音さん。
私達が、うんと利用しやすいように。

「期間は、今から一週間。君達には、無人島で集団生活をしてもらう。ここから先は、全て君達自身で判断する必要がある。さぁ、サバイバルの始まりだ!」

バカンスは終わり、ね。

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沙羅(プロフ) - 橋本ー!!!!ありがとうございます!この小説に橋本と龍園が出てくるだけで最高にテンション上がります!これからも応援してます! (3月27日 1時) (レス) @page22 id: e669b9fbcc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2024年3月18日 18時

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