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やることが多すぎる。 ページ17

沈んだ低い声なんて想像もつかないような明るく弾んた声に私も合わせ、同じくらい明るく演じて見せる。
 
『凄いね、桔梗さんって本当に何でも出来て。』
「あははっ、やったぁ!ごめんね、急に1人きりになるのが寂しくなって、ついこんなことしちゃった。おやすみ!」
『おやすみ、また明日ね。』

満面の笑顔で互いに手を振り合い、その場を離れる。
貼り付けた笑顔を剥がしたのは、自分の部屋に戻ってきてからだった。
慣れない環境下での出来事に疲れが溜まって、椅子に倒れるように座り込む。
息を吐き出して、こめかみを揉んだ。
目を閉じて、頭の中を整理する。

『茶柱先生からの挑発、龍園君のちょっかい、桔梗さんへの隠蔽、鈴音さんの育成、愛里さんのサポート………やることが多すぎる、ちょっと疲れた。』

考え事をしながら風呂に入り、悶々としながら眠りにつく。



















身動ぎをした時、鼻っ柱に硬い何かがクリーンヒットする。

『ふがっ?!』

揺蕩っていた睡眠の波から、強制的に引き上げられた。
眠りを妨げてきた謎の硬い物体は何かと、目を数回瞬かせながらピントを合わせる。
室内は、明るい。
眠る前に電気はちゃんと消したから、もう朝なのだろう。
ぼやけていた視界がクリアになって、初めてそれが人間の身体であることに気付いた。
………ん?人間??
人間!?!!!?!
慌てて顔を上げる。
感情の籠もらない無機質な瞳が、私を穴が開く程見つめていた。
こんな時でも平常運転のその人物を前にして、ヒクヒクと頬が痙攣している。
親の顔より見た相手の目を見返し、朝独特の掠れ気味の声を精一杯張り上げた。

『き〜よ〜た〜か〜??』
「起きたか、おはようA。よく眠ってたのは良いが、俺が来た時に一度目を覚ますべきだぞ。相手が、悪意を持つ俺じゃない人間だったらどうする。」
『人が無防備に眠っている部屋に無断で入ってきた貴方が、よくもまぁいけしゃあしゃあと講釈垂れたわね!!』
「落ち着け。」
『これが落ち着いていられる!?寝て起きたら、目の前に貴方が居たのよ!?』
「俺にとやかく言うのは構わないが、まずAは鍵をかけろ。ダメ元でドアノブを捻ったら開いていて、俺でも冷や汗を掻いた。」
『そもそもダメ元でドアノブ捻らないでよ、チャイムでちゃんと起きるから…』
「起こすのは、悪いと思ってな。」
『悪いと思うのなら、まず寝室に入ろうとするその行動に感じてほしい……』

目の前に居たのは、清隆だ。

フル稼働。→←いつもの、仮面。



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沙羅(プロフ) - 橋本ー!!!!ありがとうございます!この小説に橋本と龍園が出てくるだけで最高にテンション上がります!これからも応援してます! (3月27日 1時) (レス) @page22 id: e669b9fbcc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2024年3月18日 18時

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