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と、言うことは。 ページ9

地獄…?
怒り狂う男の肩を無理矢理掴んで抑えていると、またしても不穏な言葉が飛び出してくる。
力が抜けたその隙に少年が私の手を振り払い、クソッ!と吐き捨てながら目の前のゴミ箱を蹴っ飛ばして去っていった。
ちょっと待ってよ、私がこれ片付けるの??
丁度店から出てきた清隆もこちらを見ていたが、やがて私に意味ありげな目配せをした。
彼が視線の先に誘導するので何かと思って見上げると、頭上には黒光りする監視カメラが。
そうか、こうして学校敷地内の治安を保ってるってことね。
…と、言うことは。

「…はぁ。」

清隆も同じことを考えたらしい、深いため息を吐いている。
私も面倒だけれど、ここで何もしない方が後々に響くかもしれないと考えると余計ややこしくなる。
清隆と共に、ゴミ箱を片すことにした。



















入学時より、遥かに賑やかさが増した教室内。
あちらこちらで、ポイントを豪勢に使い込んでいる会話が聞こえてきていた。
良いのかなぁ。
「毎月ポイントが支給される」とは言われたけれど、毎月「同ポイントが支給される」とは一言も言われていないこの不安定な状況下で、そこまで豪遊しても。
私と清隆とで交わされた「想像」を正しいと仮定して考えた場合、取るべき選択肢は1つしか無い筈だ。
私達からすれば別に利用価値も無い人達ばかりだから、注意もしないけれど。
私は定期的に色々なグループに混ざりながらも、基本的に清隆と共に居た。
他の人達と適度な距離を作っておかないと、いざって時に正しい情報が降りてこないから。
清隆は、友達作りに失敗したとぼやいていた。

「…憐れね。」

唐突に、隣から冷ややかな声がした。

『…何が?鈴音さん。』
「鈴音さん?」

私の呼び方に敏感に反応する

『あ、駄目?ほら、生徒会長も同じ苗字でしょ。頭の中でこんがらがっちゃって大変だし、クラスメイトは皆こう呼びたいのだけれど…』

嘘ではない。
いきなり下の名前呼び捨ては嫌悪感を抱く場合があるし、だからといって苗字+さん付けは距離が遠すぎる。
その中間を狙ったつもりなのだが、その方法がかえって相手に不信感を思わせては逆効果だ。
私の八の字に下げた眉根を見て後味が悪くなったらしい鈴音さんは、面倒そうな顔をする。
案外、分かりやすい駒だ。

「………好きにすれば。」

とっても長い沈黙の末、そう答えてくれた。

少し付き合って。→←不良品。



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れい(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!!更新頑張ってください (2月18日 12時) (レス) @page24 id: 774cbd6690 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2024年2月6日 18時

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