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1人じゃ危ない。 ページ44

『小さい頃からこんな感じにボーッとしてるから、何だか放っておけなくていつもお世話してた名残が、今も残ってるってだけ。』
「…そうなんだ。」

小さな声で返事する桔梗さん。
心なしか、彼女の声色が暗くなったような…?
気付いているのかいないのか、清隆が続ける。

「あぁ。Aのような才色兼備が、俺みたいな地味な男を選ぶわけないだろ。」
『ちょ、何で急にハードル上げるの清隆!』
「本当のことだろ。」
『からかわないで!』

清隆の胸を、軽く握った拳で笑いながらつつく。
痛い痛い、と大袈裟に身を捩って避けた清隆の視線が桔梗さんに向く。
つられてそちらを見ると、桔梗さんは今度は鈴音さんのことを聞く。

「堀北とは友達…いや、ただの隣人だ。」
『何でそんなこと聞くの?桔梗さん。』
「ううん、何でも無いの。じゃあ私、部屋に戻るね。」
「あぁ。」

おやすみ、と消え入りそうな声で告げて桔梗さんは部屋から出ていった。
取り残された私達の部屋に、途端に振り始める沈黙。

『…何だったんだろう、桔梗さん。』
「さぁ。」
『…あ、ねぇこれ。』

ベッドを見ると、誰かの端末がポツンと置かれていた。
恐らくは、桔梗さんのものだ。
どうやら、忘れてしまったらしい。
ここに置きっぱなしでも構わないが、夜中に清隆の部屋に突撃されても困る。
今なら、まだ間に合うだろうか。
桔梗さんのと思しきそれを手に取り、玄関に向かう。

『清隆、私これ渡してくる。』
「1人じゃ危ないだろ、俺も行く。」
『大丈夫よ、ちょっと上の階に行くだけだもの。』

背後から飛んでくる声に過保護なんだからと思いながら返すと、清隆の冷えた指先が私の首筋に触れる。

「その油断のせいで、半分襲われかけたのはどこの誰だった?」
『…私。』

苦虫を噛み潰すような声色になってしまったことは、この際許して欲しい。

「だろ、行くぞ。」
『はぁい。』

結局、私は清隆と共に桔梗さんの背中を追いかけることになった。
部屋を出ると、ちょうどエレベーターに乗ろうとしているようだった。
そっと追いかけ、エレベーターの前に行く。
ところがそれは、女子の部屋がある上ではなく出入り口のある下へと動いている。
清隆と目を合わせた。
何で下に?
外はもう真っ暗だと言うのに、桔梗さんは1人でとぼとぼと人気の無い道を進んでいく。
私や清隆なら敵は居ないとしても、桔梗さんのような女子生徒は気をつけないといけない時間帯であり場所だろう。
こんな時間に一体何をしに…?

私達と同類。→←幼馴染。



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れい(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!!更新頑張ってください (2月18日 12時) (レス) @page24 id: 774cbd6690 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2024年2月6日 18時

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