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幼馴染。 ページ43

嘘は言っていない。
微笑みながらツラツラと述べ立てると、鈴音さんが否定しようと口を開きかける。
それを被せるように、池君達が口々に称賛の言葉を放つ。
そうそう、そうやって鈴音さんの反論の余暇を与えないでおいて。

「何で…俺なんかのために…?」
「私は…私のために行動しただけよ。」

若干感動したような須藤君の口ぶりに、鈴音さんが動揺しながら何とか返した。
ベッドに腰掛け、1人我関せずと言ったように本を読んでいた鈴音さんだが、今はすっかり一員として会話している。
この会も、開いて良かったのかも。
皆が鈴音さんを褒める中、桔梗さんだけが頑として口を開こうとしなかった。

『…』

そんな様が、何だかとても気になった。


会もお開きになった。
清隆がゴミを1つにまとめ、桔梗さんが洗い物、私は清隆のため風呂を洗ってすぐにでも湯舟につかれるように準備をしていた。
清隆が、桔梗さんに声をかけた。

「悪いな、手伝ってもらって。」
「こっちこそ、部屋を使わせてくれてありがとう。」
「いや。」

ふと、会話が途切れた。
ややあって、今度は桔梗さんが話しかける。

「…綾小路君は、さ。」
「何だ?」
「やっぱり、Aちゃんが好きなの?」
「え?」

え?

「いつも一緒に居るみたいだし、クラスの女子の間でも結構噂になってるんだよ。」

思わぬところから自分の名前が出て、風呂場から出ようとしていた身体が止まる。
何で、そんなことを桔梗さんが気にするのだろう。
確かに付き合っているし、そう思われても良いくらいには一緒に行動しているけれど。
だが、私達が交際しているという事実はまだ誰にも話していない。
これは何のためというより、私達のためでもある。
今後もし清隆や私に何かあった時、付き合っているという事実が対応の足を引っ張ってしまうことを避けたいからだ。
清隆もその辺は勿論分かっていると思うが、こうした話題は男子の清隆より女子の私が真っ向から否定すべきだ。
私は硬直していた身体を動かして、風呂場2人の前に姿を見せる。

『なぁに清隆、何の話をしていたの?』
「いや、俺達が付き合っているのかって話だ。」
『清隆と私が?』

何だか心苦しい。
本当に本当に好きなのに、その人の目の前で嘘とは言えどその事実を否定しなくちゃいけないのだから。
歪みかける口元を、何とか綺麗に整えた。

『あははっ、違うよ。』
「違うの?」
『私は、清隆の幼馴染。』

1人じゃ危ない。→←痛い…



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れい(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!!更新頑張ってください (2月18日 12時) (レス) @page24 id: 774cbd6690 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2024年2月6日 18時

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