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痛い… ページ42

「まぁ、そういうことにしとこうか。」

清隆が、私と同じように含みを持たせて言葉を放って立ち上がる。
すぅ…と、鈴音さん周辺の温度が下がった気がした。

「ねぇ…その態度、気に入らないわね。綾小路君。」
「え?」
『清隆〜そんなニヤニヤした声色したら、鈴音さんが勘違いしちゃうでしょ。』
「何を思っているのか知らないけれど、貴女もそうよ旋毛風さん。」
『えっ?』

予想だにしなかった私の名まで出され、面食らう。
鞄を何やら漁った鈴音さんが、徐ろに立ち上がった。
手には、針がこちらを向いて光るコンパス。
……え、コンパス?

「苦しみながら後悔するのと、絶望しながら後悔するのと…貴方達はどちらが好みかしら。」
『よ、よく分からないけれどどっちも嫌かな。ってか、何でコンパスを剥き身で持って…?!』

そこから先は、差し迫るコンパスの針に刺されて飲み込んだことは、言うまでも無い。
痛い…













夜。
清隆の部屋では、それはそれは賑やかな会が開かれていた。
それぞれがお菓子を持ち込んで、楽しげに乾杯している。
集まったメンバーは、赤点3人組と鈴音さん、桔梗さんと私である。
もう一度言おう、ここは清隆の部屋である。
何でここ?
俺別に関係無いだろ…と言わんばかりのため息が、向こうから漏れ聞こえる。
苦笑しながら清隆が所望したコーヒーを差し出し、清隆の机に凭れかかる。
ため息を聞いた須藤君が、暗い顔してどうしたと問う。
主に君達のせいなのだけれど。

「祝勝会を開くことは構わないし、賛成だが…何で俺の部屋なんだ。」

清隆の疑問は尤もなのだが、彼等からすればさして大事なことでは無いらしい。
その言葉は綺麗さっぱり無視され、話題は桔梗さんと私の方へ流れてくる。
あまりにも不憫に感じたので、清隆の耳に口を寄せた。

『後で綺麗に掃除しておくから。』
「頼む…」

わぁ、こんな疲労困憊な清隆は久々だ。
やはり、制御しにくい人達の相手は面倒なのだろう。
引き攣った笑みを浮かべていると、桔梗さんが須藤君の退学を取り消した方法を尋ねてきた。
清隆が、こちらをチラリと見る。
…了解。

『それは、主に鈴音さんが。』
「あぁ。堀北が、学校に掛け合ったんだ。」

急に名前を出され、こちらに視線を投げかける鈴音さん。

『何の説明も無いまま、赤点を取っただけで退学になるのはおかしいってね。あんなマジな鈴音さんは初めてよ、凄かったんだから。鈴音さんの訴えに、誰も反論出来なかったんだもの!』

幼馴染。→←ツンデレ。



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れい(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!!更新頑張ってください (2月18日 12時) (レス) @page24 id: 774cbd6690 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2024年2月6日 18時

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