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ツンデレ。 ページ41

「学校史上、一度たりともDクラスが上にあがったことは無い。それでも、足掻くつもりか?」

これは、鈴音さんに向かって言っている言葉のように感じられた。
それを分かっていたらしい鈴音さんも、視線を逸らすこと無く言葉を返す。

「彼等は兎も角、私は上のクラスにあがります。」
「学校から見放された不良品のお前達が、どうやって上を目指す?」

不良品、か。
確かに、そうかもしれない。
けれど。

『お言葉ですが、先生。「不良品」は、ほんの少しの変化を与えるだけで「良品」に変わる…私はそう考えています。』

かの有名な作家は言った。
『大切なものは、目には見えない』。
この言葉に倣うのなら、私達は本当に大切なものをまだ見つけられいないのだろう。
それを見つけられた時、私達は「良品」になれる。
そう信じている。

「なら、楽しみにしていようじゃないか。担任として、あたたかく見守らせてもらおう。」

先に歩みを始めた先生のその言葉には、全く温度が感じられない。
私達は、担任にさえ見捨てられているとでも言うの?
かえすがえす、敵ばかりの学校である。

















放課後、夕日に照らされる教室で私と清隆と鈴音さんは、何をするでもなく席から動かないでいた。
沈黙を破り、端末に表示される支給ポイントを読み上げる。

『Aクラスは1004ポイント、対する私達は87ポイント。正直、Aクラスを目指すのは無謀だと思うのだけれど…』
「私は諦めないわ。必ず、Aクラスに上がってみせる。」
「そうか。」

清隆のふわふわした返答に、鈴音さんが眉根を潜める。

「何?」
「いや、堀北のお陰だ。須藤を助けてくれて、ありがとう。」
「言ったでしょう?私はただ、自分のためにやっただけ。」
『ふぅん、本当にそれだけ?』
「何が言いたいの?」

私が茶化すように笑うと、今度は明確に眉を釣り上げて鈴音さんが威嚇してくる。
案外分かりやすい人。
私は、端末の画面を見せた。
中間テストの点数が、個別に見られるようになっている。
表示されているのは、鈴音さんのものだ。
51点の英語を除き、オール100点である。

『須藤君の英語の点数がギリギリになるのを見越して、わざと点数を下げたんでしょう?一度は突き放そうとした人に対して、随分と優しいのね。』
「っ、だから私はAクラスに上がるために…!」

両頬の端が、若干赤く染まっている。
夕日のせい、とは言わせないよ。
これが、ツンデレってやつ?生で見るのは、初めてだわ。

痛い…→←退学取消。



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れい(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!!更新頑張ってください (2月18日 12時) (レス) @page24 id: 774cbd6690 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2024年2月6日 18時

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