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私達より酷い。 ページ4

私もそっと会話に入る。

『あぁいうことには、出来るだけ関わりたくないよね。』
「一緒にしないで。私は、信念を持って譲らなかったの。」
『あら。』
「…」

清隆でさえ、思わず黙ってしまっている。
それは多分、私達より酷いかも。

「用が無いなら良いわ。」

少女はそれだけ言うと、髪をたなびかせて歩いていった。
あんなのも同じ高校なのか、しかも恐らく同級生。

『…何も起きない、かな?』
「嫌な予感は、するんだけどな。」

ニヤニヤしながら清隆の方を見ると、何処か嫌そうな顔をしている。
堪えきれずに吹き出しながら、私達は校門を潜った。






入学式。
堀北学という生徒会長が淡々と言葉を述べる中、そっと周囲を見渡す。
ガタイの良い青年、正義感に溢れた女の子、半分居眠りをしかけている生徒、実に様々だ。
けれど私の目に一際目立って留まったのは、さっき声をかけてきた女子生徒。
妙に硬い顔をして、壇上の会長を見上げている。
顔立ちが似ているように見えるのは、私が他人に興味を持っていないからかな。
どうやら、私達と同じクラスだったようだ。
清隆もびっくりしてるのか、その少女のことをじっと見ている。

式が終わって教室へ入ると、既に様々な所で会話が生まれていた。
中には、バスで席を譲ってくれないかと頑張っていた可愛らしい女子生徒や、その席を一切動こうとしなかった金髪の男も居る。
…のんびり爪とかいじってるよ、余裕だなぁ…
それらにも驚かされたが、何よりまたしても驚いたのが清隆の隣の席の子だ。

「…嫌な偶然ね。」
「同感だ。」
『あらら、清隆ってば早速敵作っちゃって。』

まぁ、敵とは言っても清隆や私からすれば相手にもならないようなものだろうけれど。
私も苦笑いしながら、清隆の前の席に落ち着いた。

「皆、ちょっと良いかな!」

やがて、クラスの中から声が上がる。
見ると、優しそうな男の子が立っていた。

「今から皆で自己紹介をやって、1日も早くお互いに友達になれたらと思うんだ。先生もまだ来ないみたいだし、どうかな?」

あたたかな声色と、整った顔立ちから溢れる笑み…あまりに完璧過ぎて、ちょっと怖いくらいの良い人だ。
周囲に賛成され、青年が平田洋介と名乗った。
こういう人がクラスの中心になっていくんだろうなぁと思っていたら、今度は可愛らしい女子生徒が立ち上がった。

何も持たない、自由な白い鳥。→←第1話。



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れい(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!!更新頑張ってください (2月18日 12時) (レス) @page24 id: 774cbd6690 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2024年2月6日 18時

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