検索窓
今日:25 hit、昨日:125 hit、合計:63,951 hit

見捨てたくない。 ページ25

「それならそもそも、こんな計画に俺達を無理矢理巻き込んだりはしないだろ。」
『違いないわ。』

そうこうしていると、清隆の端末に鈴音さんからメールが届いた。
言っている意味が理解出来ない…と。
電話で返事をしようと清隆が再び電話をかけるも、メールで何だと返ってくる。
何このコント。
結局、メール本文を送る前から鈴音さんによるNGが出てしまった。
何も出来なくてごめんねと謝ると、清隆はAに責任は無いと言ってくれた。
勉強会に参加することは出来そうに無いと桔梗さんに伝えると、桔梗さんは何を思ったのかこの件は私に一任してくれと言ってきた。
さて、一体何をしてくるのやら。
お手並み拝見させてもらおう。












時は経って、勉強会当日。
鈴音さん主催の勉強会には、結局桔梗さんも混じった赤点危険メンバーと清隆、そして私が集まった。
静かな図書室で会は始まったものの、上手く行く筈も無く。

「無知無能っつったか!?」

須藤君の憤った声が、図書室に響いた。
叫んだ理由は簡単で、鈴音さんの冷酷な言葉に彼が怒ったからだった。
頼むから静かにして欲しい、追い出されたら厄介だ。
鈴音さんは涼しげに、連立方程式の1つも解けないでこの先どうなるのか考えただけでゾッとする、と続ける。
鈴音さんの言うことは尤もだし、私自身も強く思う。
社会に出てから一体何の役に立つのだろうと想像する学生時代の勉強は、何の役にも立っていないようで実は様々なところで役立っている。
そもそも、「自分自身の役に立っている」ことに、人々はまず気付かない。
けれど、鈴音さんの難点はその言い方にある。
どれもこれも正論なのに、言い方や伝え方で折角の親切心も皆悪い方向に捉えられてしまうのだ。
須藤君も須藤君で沸点が低いから、鈴音さんの一言に全て着火させられてしまい、結局彼のためにもなる勉強会もこうして破綻してしまう。
池君と山内君も、鈴音さんの言い方に難癖をつけて去って行った。
というか桔梗さん??貴女に一任してみた結果、こんな事になったんですが??
桔梗さんの方を見てみれば、鈴音さんに言い方を変えるよう説得している。
鈴音さんは、彼等3人組を足手まといだと切り捨てた。
眉根を寄せた桔梗さんは一瞬黙ってから、自分が何とかすると荷物をまとめ始める。
見捨てたくない、と朗らかに笑う桔梗さんに、鈴音さんは実に冷たい視線を投げかけた。

「貴女が本心からそう言っているのなら、構わないわ。けれど……」

本当は何を。→←親善大使に。



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (41 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
140人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

れい(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!!更新頑張ってください (2月18日 12時) (レス) @page24 id: 774cbd6690 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2024年2月6日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。