急に頭悪くなった。 ページ13
清隆も交えた帰り道。
桔梗さんが、ため息を吐く。
「クラスの子とも仲良くなれないんじゃ、目標は遠いな…」
『鈴音さんが、特別なだけだと思うけれど。』
フォローにもならないことをフォローしておくと、向こうから見知った人物が歩いてきた。
『あ、帆波さん。』
「本当だ!」
「知り合いなのか、A。」
『うん、前に少しだけね。Bクラスの、一之瀬帆波さん。』
「私もそう!昨日友達になったんだ。」
前方から歩いてくる溌溂とした女の子に手を振りつつ、桔梗さんに聞こえぬよう清隆に耳打ちする。
『価値は、あると思うよ。』
「なるほどな。ところで櫛田、違うクラスと生徒とも仲良くなってるのか。」
「うん!Bクラスは話しやすい人が多いから。」
夕暮れが私達の顔を照らす中、3人でゆっくりと歩く。
桔梗さんは鈴音さんのことを知っている私達に何だか少し不服そうだったが、そこは偶然で押し通す。
だってそこは、本当に偶然だったのだから。
桔梗さんの距離の近い行動に毎度殺意のような冷ややかなものを飲み込まされるのは不本意だが、そんな程度で揺らぐ清隆の精神ではないことは私が一番よく分かっている。
それに、私のじとりとした視線にも彼は気付いてる。
何なんだ、嫉妬させたいのか?
だとしたら清隆の目標は、ずっと前から達成されている。
持ち合わせる雰囲気はさておき、彼の顔立ちはしっかりと整っている。
こんな調子で色々な女の子達と関わっていたら、彼の良さに皆が気付いてしまう。
取られるようなことは無いだろうけれど、私の精神衛生に関わってくる。
出来れば、もう少しプライベート空間を広げて欲しいのだけれど。
なんて、そんな頭の悪いお願いは出来ないので胸にしまっておく。
一旦2人と別れて自分の部屋に行き、明日の荷物の準備と今日の夜に清隆の部屋に泊まる支度の諸々を整えて、鍵を開けて待ってくれていた清隆の部屋に直行する。
扉を開けてくれた清隆の胸に思いっきり飛び込み、頭を撫でてもらう。
『き〜よ〜た〜か〜。』
「何だ、急に頭悪くなったみたいな声出して。」
『各所方面にその頭を下げなくちゃいけなくなるから、出来ればそこは言わないで。』
「すまん。」
やっと被っていた猫を剥ぎ取れる。
1日でだいぶ疲れた全身をほぐしながら、台所を借りる。
『お夕飯は、何が良い?』
「…何でも」
『何でも良いっていうの以外で。』
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れい(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!!更新頑張ってください (2月18日 12時) (レス) @page24 id: 774cbd6690 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜 | 作成日時:2024年2月6日 18時