22・彼氏? ページ26
「お姉ちゃん、彼氏さん、クローゼットに閉じ込めたりしたらかわいそうだよ。」
もふもふ達がしっかりぬいぐるみに擬態したところで、部屋に妹を入れたときの彼女の第一声がこれである。
「彼氏?いやいやいや、見間違いだから。誰もいないから。」
「まぁ、般若のコスプレをしてる彼氏なんて見られたら隠したがるのもわかるけど…。そんな照れなくてもいいのに〜!」
何がそんなに楽しいのかこの妹。すこぶる上機嫌である。
「大丈夫わかってる!遠距離恋愛はつらいもんね!お母さんとお父さんには内緒にしとくから。いまはおうちデートゆっくり楽しみなよ。」
じゃあね〜、と手をひらひらさせながら妹は自分の部屋に戻っていった。
どうやら、彼女の頭の中では、私は地元の彼氏と久々の再会中、ということらしい。
すごい勘違いしてきたな。
デート中に般若のお面かぶる彼氏なんて嫌だわ。
なんにせよ、もふもふ達のことがばれなくてよかった、と胸を撫でおろすのだった。
帰省中はこのこと以外には特に大きな事件もなく、つつがなく一週間が終わり、無事に帰路に就くことができた。
新幹線の中。隣の席で伸びをしながらきっくんが嘆く。
「う〜。俺が彼氏として紹介されるはずだったのに〜。」
「いや、そんな予定一切なかったからね。」
軽口を叩くきっくんにツッコミを入れるのももう習慣になっている。
窓際で頬杖をつきながら外の景色を眺めている小鬼くん、もといあろまさんに声を掛ける。
「あろまさん〜。プリッツ食べます?」
「お。もらうわ。さんきゅ。」
うーん、あの甘えたな小鬼くんがこんなクール(?)なツンデレさんだったなんて…!
そう思いながらまじまじと見つめていたら、彼は少しおかしそうにしながら口を開く。
「そんなにガン見するなって。…そんなに違和感あるか?」
「はい。小さいときとのギャップがすごいなって。」
「あー……俺もそう思う。」
そう言いながら再び窓の外を見つめる彼の表情が少し曇っていたのに、そのときの私は気づかなかった。
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ea - 早く、続きが見たいです!。 (2018年5月20日 21時) (レス) id: 2c6262ea33 (このIDを非表示/違反報告)
飼育員B(プロフ) - コメント失礼します。いつもこの小説に癒しをもらっています。先生が好きなので、般若くんが人間に戻る時にニヤニヤさせてもらいました。← これからも、更新頑張ってください。 (2015年9月13日 17時) (レス) id: a1d9ad5f25 (このIDを非表示/違反報告)
猫苺(プロフ) - 26話で見たい動画を見たい時のアピールの仕方 ミドリくん・黒くん・般若くん(手でペチペチ) アルパカくん(頭でゴスゴスゴス!)こんな感じなんでしょうね(笑) (2015年9月13日 15時) (レス) id: c342f71c4d (このIDを非表示/違反報告)
レオン(プロフ) - コメント失礼します…えっとすごく場違いな気しかしません(すごい作者さんばかりで)でもとにかくぶろっちょの必死なところとか可愛いなって思ったりして読ませてもらってます! (2015年9月13日 0時) (レス) id: c7e9f97efd (このIDを非表示/違反報告)
餡子らーめん(プロフ) - 弥燗邪夢@まふ君依存症。さん» 応援コメントありがとうございます♪ そうなんです。ぶろっちょの見せ場がどうしても多くなってしまうんです笑 ふぶくんの株がこれで上がるなら私は喜びます← 応援とっても励みになります!最後まで書ききれるように頑張っていきますね♪ (2015年9月8日 23時) (レス) id: b3e1ed8c43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:餡子らーめん | 作成日時:2015年4月30日 22時