小学生時代 （６０） 心操side ページ18
俺は何度も涼に咎められた。
勝手に触るな。
洗脳だか何だか知らないが、Aを操るんじゃない、と。
まだそれを本人の前で言われたことは無かった。
今日の今まで。
放課後、下駄箱で別れ際にAさんの手を引いた。
彼女は何事、と振り返る。
その顔を両手で包んで親指でそっと撫でた。
突然のことに耳まで火照らせたAさん、そしてそれを凝視する、涼。
「おい、心操」
ああ、もう束の間の静けさは終わりなんだ。
俺が、終わらせてしまった。
「許可無く触んなって何度言ったらわかんだよ。洗脳使って俺のA取るんじゃねえよ、
「違う、使ってない」
洗脳される感覚なんて分からないのだから、疑われたらもう信頼は戻らない。
こうなってしまった今はもう、ただただ彼女に誤解されなければそれで良い。
「嘘つけ、誰が信じるかよ」
賑わう下駄箱の一角で睨み合う俺たちと、困り果てたAさん。
意を決して彼女も口を開いた。
「本当だよ、心操くんは私を洗脳してない。私の大好きな友達を
彼女の言葉に驚いたのは俺も涼も同じで、二人共驚いて振り向く。
しかし涼はすぐに俺の方に向き直ってさらにきつく睨みつけた。
「何、言わせてんだよ」
「違う、洗脳じゃない！」
涼は舌打ちしてAさんの腕をつかむ。
「A、行くぞ。帰ろうぜ。次洗脳したら殴る」
彼女はその手をそっと振りほどいた。
自分より背の高い涼をしっかり見据えて言う。
「……心操くんはそんなことしない。ほら、私を見てよ、いつも通りだよ」
「分かるわけないだろ。こんな“個性”持ってる奴の言葉、信じろって方がおかしい。
林間の時だって俺に使ったじゃねえか」
行くぞ、そう言って再び彼女の手を取る。
痛いところをつかれた。
だがその酷い言い様にさすがに腹が立って言い返そうとすると、それより先にAさんが動いた。
「……酷い。もういいよ、先帰ってよ。私は心操くんと遊ぶから」
「はっ?てめっ……！」
あまりの怒りにAさんさえ殴ろうとするが、さすがに止まった。
「ちっ……。そうかよ、じゃあな」
足早に去っていく涼の後ろ姿を、Aさんは震えながら見送った。
俺がAさんの泣いた顔を見るのは二回目だった。
また、俺の所為だ。
.
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まや - このふたりはよくっつけやぁぁあぁ！！！ (2020年11月3日 10時) (
レス) id: 5170473165 (このIDを非表示/違反報告)
CaoCao(プロフ) - りんごさん» ありがとうございます、励みになります……！頑張りますので、これからもよろしくお願いいたします。 (2020年4月3日 19時) (レス) id: 213312345b (このIDを非表示/違反報告)
りんご - あ、しゅきです…←更新頑張ってください！ (2020年4月3日 14時) (レス) id: 87b2e18e78 (このIDを非表示/違反報告)
CaoCao(プロフ) - 鳳＊さん» 小学生にそこまでの知識はないと思ったため、二本とさせていただきました。紛らわしくてすみません。ご指摘ありがとうございます。 (2020年4月2日 10時) (レス) id: 213312345b (このIDを非表示/違反報告)
鳳＊(プロフ) - (豆知識＊キリンの角は5本。) (2020年4月2日 10時) (レス) id: 63e109079e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：CaoCao | 作成日時：2020年1月1日 14時
