本気であなたが。 ページ27
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｢それは……｣
言葉を詰まらせ、結局はまた、顔を歪ませてしまった花巻。
違う、違うよ。
困らせたい訳じゃない。悲しそうな顔をさせたい訳じゃない。
｢……本気、だったんだよ｣
ただ、本気だったんだよ。
一度見たときから。
本気で、花巻を。
｢ブスが何言ってんだ、って感じかもしんないけど、OKしてもらえたときは、嬉しくてさ｣
自嘲的な笑みを浮かべながら、ぽつりぽつりと呟いていく。
嗚呼、そうだ、嬉しかった。
あのときは、ひたすら嬉しかった。
｢叶うわけないって思ってたから、もう、無理だって、諦めてたから。
そしたら、OKもらえちゃったから。
死ぬほど、嬉しかったのに｣
死ぬほど嬉しかった。
死にはしなかったけど、それでも、嬉しすぎて死にそうなほどで。
｢花巻には、実は好きな人がいました、って？はは……何それ。随分ひどい、バッドエンドだ｣
いかにも自分は悪くないと言うように、俯いて、花巻を罵り続ける。
嗚呼、汚い。
こんな自分が、嫌になる。
｢……悪い｣
｢謝るくらいなら！！
謝る、くらいなら……最初から、OKなんて、しないでよ！！｣
そうやって謝るくらいなら、いっそのことフラれた方が良かった。
今この瞬間の絶望よりは、まだ、軽かったはずだから。
私が告白して付き合うまでが、全部仕組まれたストーリーだったなんて、笑えるじゃん。
嗚呼、でも、気付かなければ良かったのかな。気付かなかったフリをして、このまま、付き合ってれば良かったのかな。
いっそのこと、無理やりにでも私の傍にいて貰えれば、それだけで。
｢……バカみたい｣
そんなことしても、花巻にはちゃんと、好きな人がいて。
辛いよね、花巻も。
何か、断れない理由があったんでしょ、そうなんでしょ？
そうだと言ってよ、苦しいから。
このままじゃ、ひたすら辛いだけで。
地面を見る。
蟻が一匹、死んでいた。
潰されたような痕があり、小さな体を横に倒して。
静かに、死んでいた。
踏んでしまったのかな、なんて、この場に似合わない言葉を心の中で吐く。
苦しかった？辛かった？
死ぬのは一瞬だね、どうにも。
死ぬっていうことだけは、理論がはっきりしていて、美しい。
……なんて、くだらない自論。
｢……私、今から花巻に告白する｣
顔を上げて、花巻の顔を見る。
酷く歪んだその顔。ねえ、私の顔は今、どうなってる？
あんたみたいに、歪んでるかな。
……息を吸って、口を、開く。
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あいうえお - すみません他の作品のパスワード教えてほしいですー！ (2023年2月18日 22時) (
レス) id: 8655edc292 (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - たまたま見つけたこの小説でしたが、読んでよかったなあと思いました。私も夢主ちゃんと同じ感じで何もないのに死にたいとかめっちゃ思います。だからこそ共感できるし、なんか同じ気持ちの子がいるんだなって嬉しくなりました。好きです！ (2021年6月19日 6時) (レス) id: 85ad8c6978 (このIDを非表示/違反報告)
お水。(プロフ) - まーちさん» いえ！こちらこそ読んでいただき本当にありがとうございます！感動したと言っていただけて本当に嬉しいです。コメントまで残して頂き、励みになります！本当にありがとうございました！ (2020年12月29日 18時) (レス) id: 5c541d7487 (このIDを非表示/違反報告)
お水。(プロフ) - まふにゃさん» 歌詞だったんですね！気付きませんでした！今度検索してみますね！コメントありがとうございます！ (2020年12月29日 18時) (レス) id: 5c541d7487 (このIDを非表示/違反報告)
まーち - こちらの作品とても感動しました。少し、少しだけ感情が薄い私がなきそうになりました。こんな素敵な作品を作っていただきありがとうございます。 (2020年12月10日 21時) (レス) id: 65334a4eed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お水。
| 作成日時：2019年1月12日 17時
