その目は酷く熱を帯びて。 ページ25
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可愛い、とは人目見て言えない。
私も人のことは言えないけど。
その子も、こっちを見ていて。前からやってきた男子に、手を引かれて歩いていった。
誰だろう。
同中？
……にしては、どこか、熱を帯びていた。
あの視線。
また、花巻の顔を覗く。
……ガシャン。
今日は酷く快晴で。
汗の量も尋常じゃなくて。
嗚呼、風もどこか生暖かい。
｢……花巻｣
｢……え、あ、おう。行くか｣
知らないふり。
見ていないふり。
だって、理由なんて、知ってしまえば。私はもう、壊れてしまう。
知らなければ、まだこの関係は続いてくれる。
例え、さっき見た花巻の顔が、
酷く、歪んでいたとしても。
最初にあの子を見たときの顔も。
完全に、恋する人の瞳。
そして、私といるところを見られ、相手も男子に連れ去られた瞬間。
花巻の顔が、酷く、歪んだ。
(……嗚呼)
これは、なんだろう。
空虚かな。
でもなんか、泣きそうだ。
あの顔を見てしまった。
見ていないふりをしたかった。
でも。
あの顔は完全に、ココ最近の、私の瞳と酷似していた。
｢……｣
口を開いたり閉じたりして、嗚呼、なんて情けないんだろう。
聞きたくない。
聞かなければ、このまま、恋人で。
恋人の、まま。
(……相手も、好きじゃないのに？)
グサリ。
何かが、心を刺した。
｢花巻！｣
｢え、ちょ、声でか｣
ごめん。
私は、花巻が別の誰かを好きでいるまま、それを知らないふりして付き合うなんて、無理だ。
そこまでのメンタルは、持ち合わせていない。
｢行き先変更。人通りの少ない公園。こっち｣
クルリ、と踵を返し、しばらく歩き続ける。途中途中、なあ、おい、とかって話しかけられることもあったけど。
全部、無視。
こっちだって限界だ。
花巻のあんな顔、見たくなかった。
あの子はきっと、同じ高校じゃない。
……あれ、でも。
あの子を連れてった男子が、もし、あの子と付き合っているんだとしたら。
まだ、望みはあるということか。
でも。
あんな顔をさせるあの子に、叶うはずがないじゃんね。
｢……ここ｣
駅からかなり歩いた。
公園の入口から入って、ベンチに座る。幸い、お昼時だったため子供たちはいなくて。
きっと、お母さん達とどこかで外食かな。
まあ、いいや。
そんなことは関係ないんだ。
｢ねえ、花巻。
好きな人、いるでしょ？｣
未だベンチに座らない君に、
下から見上げ、笑いかける。
一人切なく嘆く。→←どうしようもない、きっと、どうにもならない。
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あいうえお - すみません他の作品のパスワード教えてほしいですー！ (2023年2月18日 22時) (
レス) id: 8655edc292 (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - たまたま見つけたこの小説でしたが、読んでよかったなあと思いました。私も夢主ちゃんと同じ感じで何もないのに死にたいとかめっちゃ思います。だからこそ共感できるし、なんか同じ気持ちの子がいるんだなって嬉しくなりました。好きです！ (2021年6月19日 6時) (レス) id: 85ad8c6978 (このIDを非表示/違反報告)
お水。(プロフ) - まーちさん» いえ！こちらこそ読んでいただき本当にありがとうございます！感動したと言っていただけて本当に嬉しいです。コメントまで残して頂き、励みになります！本当にありがとうございました！ (2020年12月29日 18時) (レス) id: 5c541d7487 (このIDを非表示/違反報告)
お水。(プロフ) - まふにゃさん» 歌詞だったんですね！気付きませんでした！今度検索してみますね！コメントありがとうございます！ (2020年12月29日 18時) (レス) id: 5c541d7487 (このIDを非表示/違反報告)
まーち - こちらの作品とても感動しました。少し、少しだけ感情が薄い私がなきそうになりました。こんな素敵な作品を作っていただきありがとうございます。 (2020年12月10日 21時) (レス) id: 65334a4eed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お水。
| 作成日時：2019年1月12日 17時
