妖界ナビ・ルナ～私は伝説の子～part４ (ページ8)

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第４.７話　犬の名はカザンページ8

最初に遭遇したのは港町。

じっちゃんの店、『ひいらぎや』を出た所でカザンに襲われた。
それで肩を噛まれてしまったのだ。

その時、頭の中で響く声がした。
『やめろ、カザン!』という男の人の声。

そのためカザンは私から離れていき、危険を免れた。

二回目に会ったのは果南島の洞窟の中。
カザンは男の人と一緒だった。

その男の人はうず目を持ち、囚われていた私を助けてくれた。

そして果南島から去る日の前夜、
私はアパートを見上げている男の人とカザンを見つけたのだ。

「それじゃあ、カザンとその男の人は
Aや私達の後をずっとつけていたって事なのね」

「問題はカザンという犬よりも、Aと同じ目を持つ男の人だろう」

「うん……しずくさんが最後に残した言葉も気になるし」

「気になることがあるの……。うず目はAの母である
レンメイ様の血を受け継ぐ者にしか出ないはずよ。
それが伝説の子の証なのだから」

スネリの言葉に、二人は顔を見合わせた。

スネリともっけは同じことを考えているのだ。
しかし、私はただ俯いたまま、何も言わなかった。

「まさか……な、レンメイ様は自宅でAを産んだと聞いた」

誰も立ち会わせず、看護師を一人つけただけだったということらしい。
私しか産んでいないということを知っているのは、その看護師だけ。

もしその話に偽りがあるとすれば。

「……伝説の子が二人と言う事になるな。」

「赤色の……うず目……」

一言、私がボソッとため息のように言った言葉を、
もっけは聞き逃すことはなかった。

その一言はまるで、どこか悲しそうな感じだったのを
もっけは不思議に思ったが、聞くことはなかった。