妖界ナビ・ルナ～私は伝説の子～part４ (ページ19)

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第４.１８話　フラヒドリのもう一片ページ19

やがて振動がおさまり、観音びらきの扉が開く。

ぎぎぃ──。

ゆっくりと扉が開き、そこに見えたのは……。

黒い羽をもった、小さなみすぼらしい鳥だった。
すずめほどの鳥で、羽がところどころ抜け落ち、灰色の地肌が見える。

「は…………?」

もっと強そうな雰囲気の妖怪が出てくるのだとばかり思っていた
私は、その姿に少し力が抜け、その場に崩れ落ちそうになった。

「……すごいのが出てきたな」

馬鹿にしたように言うもっけ。

「あれがフラヒドリの片われ? 強烈な匂いを振りまいているわりには……」

「……何だか、可愛そうな感じの妖怪だけど……」

ようやく返事が出来た。
その様子に二人も少し安心したようだ。

フラヒドリは力無く飛ぶと、私の頭上で止まる。

「よくきたねぇ」

しわがれた声。
私が見上げると、フラヒドリは私とユージ君の周りを飛び始める。

「ずぅっと待っていたのさ」

フラヒドリはユージ君の玉を見つめながら言う。
そこで私は気づいた。玉に向かって話しているのだ。

「A、気をつけて」

スネリが言うのと、私がユージ君を抱えて
とび去るのと同時だった。その時。

しくしく、しくしく、しくしく……。

玉が泣きだした。
途端に、ユージ君は私の腹に後ろ蹴りをし、私から逃れた。

「ユージ君……?」

私は腹を押さえて蹲る。
油断していた私は、ユージ君の予期せぬ行動を防げなかった。