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真冬と話していれば、学校までの道のりはとても短く感じる。歩くと40分はかかる道だが、交通機関を使わない理由はそこにあったりする。
真冬は朝が弱いから、たまに遅刻してくる日もあるけど。

校門を抜けると、四角く白い立方体の見慣れた建物が姿を現す。すると真冬は、私と話していた時とは打って変わって、キョロキョロと周りを見回し出すのだ。

真冬曰く、友達が少ないから学校の人が多くなってくると少し緊張するらしい。

私と付き合っていることは隠そうともせず、なんなら教室の前まで手まで繋いでるのに、どの口が言うんだか。



「じゃあね、また後で」

「うん、今日はご飯一緒に食べれる?」

「あー、今日はね、文化祭の委員会あるから、無理かも」

「そっか……」



しゅん、と顔を俯かせる真冬が可愛くて、つい抱き着きそうになる。でも、大衆の前でそんなことすると、決まって真冬は恥ずかしがって口を聞いてくれなくなってしまうから、その衝動を耐えるのに必死だ。



「帰りは一緒に帰れると思うから!休み時間、行けたら会いに行くよ」

「そうやって言って、いつも来ないじゃん」



頬を膨らまして、不貞腐れる姿は、いつ見ても幼稚園生か小学生にしか見えない。まぁ結局は、ぶーぶー言いながら私のことを尊重してくれる。



「じゃ、またね」

「待ってるから!」



手を振って、真冬と別れる。
正直、この時ばっかりは私だって寂しい気持ちになる。今年こそは同じクラスで!とお祈りしていたのに、張り出されたクラス替えの張り紙に、私と真冬の苗字が並ぶことはなかった。


やだ!先生に言う!とか、子供のように駄々をこねる真冬を宥めるのには苦労した。最終的に、お昼ご飯を一緒に食べることを約束して納得してもらったけれど。



言葉ではそんなことを言いながら、もちろん私だって寂しかった。

本当のことを言うと、私も自分のクラスで仲のいい子なんて三人くらいしかいないのだ。



真冬と別れた瞬間に憂鬱になってきた学校に、心の中でため息を吐き、私は教室に入った。

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作者名:Ir | 作者ホームページ:http://manaaa  
作成日時:2023年2月18日 20時

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