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「真冬!真冬起きて!!」
どんどん、と大きな音を立てて部屋のドアをノックする音で、僕は目を覚ました。悠長に、今何時だ、と確認すると、7時25分と表記されたデジタル時計が目に入った。
帰ってきてから、そんなに眠っていたのか。
ふわふわと、寝起きで朦朧とする頭でぼんやり考えている間も、ノックの音はやまない。母さんだろうか。
「なんかあった?」
「真冬!あんた、大変なことになったわよ」
ドアを開けると、普段とは明らかに違う、焦燥し切った母親の顔がそこにあった。その、見るからに何か起こったのであろう表情に、僕は自分の頭に、嫌な予感がさっとよぎるのがわかった。
「なに?」
「瀬奈、瀬奈ちゃんが……」
そこまで言うと、母さんは僕の目からなぜか視線を逸らした。
せな?せなって、あの瀬奈のこと?
「瀬奈、瀬奈がどうかしたの?」
必死に尋ねるけど、なにも言わない。僕は母さんの肩を掴んで、もう一度強く尋ねる。
本当に嫌な予感がする。
数時間前まで一緒にいた瀬奈を思い出す。
おかしいところは、特になにもなかったはずだ。けど、言動がいつもと、なんか違うなとは思ったけど。
その思考まで辿り着いた時。
僕の頭に、真っ黒な雲が差し掛かった時。
「瀬奈ちゃんが、死んだって」
同時に放たれた、残酷すぎる真実が、僕の頭と脳みそをかち割った。
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作者名:Ir | 作者ホームページ:http://manaaa
作成日時:2023年2月18日 20時