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もう決めたことなのに。
自分の心の心の弱さに、ひどく嫌気がさす。
気を抜いたら、「私も、一緒に行きたい」と言ってしまいそうな自分の心が。
自分勝手で、結局考えているのはいつも私が傷つかない方法ばっかり。
「……ごめん、私は、一緒にいけない」
真冬を守りたい、なんて言って、結局は自分のことしか考えてない、醜い私自身。
私は、私と決別するために、はっきりと言った。
「………そっか」
真冬は、私の言葉を聞いて、静かにそれだけ言った。
その瞬間、私の心はこれ以上ないほどに軋み、もがくことすら許されないような強烈な痛みに襲われた。
もちろん、本当に体に起こっていることじゃない。病気のせいじゃない。
ただ、自分の中に巣くった、汚いそのままの感情が、全部体に溢れ出したような激痛だった。
止めてほしい、自分が真冬から離れようとしているこの状況を、「絶対一緒に来て」なんて甘い言葉で留めてほしい。
けれど、やっぱり真冬は優しかった。
やっぱり、もう一度言い直そう。どんなに時間を重ねようと、真冬は永遠に優しいまま。
「ごめん…………」
真冬は、そのまま、私に理由を聞こうとすることはなかった。それが本心での優しさで、気遣いだとわかっていながら、私はなにも言わず俯いて、自分から湧き出る感情に蓋をすることに精一杯だった。
ほら、やっぱり、私は私のことしか考えられない。
晴れやかだったはずの卒業式の空模様は、だんだんと曇りを帯びて私たち二人に迫っていた。
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作者名:Ir | 作者ホームページ:http://manaaa
作成日時:2023年2月18日 20時