6話 ページ6
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「ああ、そうや。そこは覚えてるで」
まあそりゃ忘れませんよね、見ず知らずの人間からいきなり同居を求められるなんて、死ぬまで忘れられませんよね。
…あれ？でもさ、この人はなんで当然のように私と住む気なんだろう？
おかしくないか？
さっきから思っていたけど、本当にどんな神経してるんだ…。
でもそれは、この人が既婚者ではないと言うことの証明でもあるから、そこについてだけ少しだけ安心する。
「あの、なんでそんな私と住むのに乗り気なんですか？」
ちょっと失礼かも知れないし、自意識過剰な感じもするけど気になったから聞いてみた。
「乗り気に見えてた？」
「えっ、いや、すみません」
「あはは、そういうつもりじゃないんやで。ただ、バレてたのか、って思っただけやから」
………。
びっくりした。
だって「全然乗り気じゃないし大体なんでお前と住まなあかんねん」の言い方だったよ。
この人は、なんだか掴めないな。
ちょっと苦手なタイプかも知れないと思いつつも、やっぱり全然私と暮らす気じゃん、と確信を抱いた。
けどさ、申し訳ないんだけどさ、本当、言ったのは私なんだけどさ。
普通に嫌なんだよね。
私が自分からそんなことを言ったってことは、多分相当疲れていたか、酒に酔っていたかのどちらかなのだ。そんなノリで言ってしまった言葉、当然私の本心ではない。大体、そんな状況だったとしてもよくこんな言葉言えたな。昔の自分が少し怖い。
この人にはすごく悪いと思っているし、申し訳なく思いながらも、断らないという選択肢はない。
「……すみません、私から言い出したことで申し訳ないんですが、その、」
「ん？どしたん？」
「一緒に住むって言うのは、やっぱり＿＿＿」
そこまで言って、私は目の前の男の雰囲気が異質な物へ変化したのを感じ取った。
「やっぱりなしで。なんて、言わへんよな？」
「あ、いや…え、と……」
「こっちも遊びじゃないんだよね。てか、そもそも君から言い出したんやで？今更、「ごめんなさい」なんて、そんなの通ると思ってるん？」
ぞわ。
今までに感じたことのないような感情。純粋な恐怖。
なに、なんなの。
なんで、どうしてこんなに威圧的なの？
目の前の男は相変わらず私を一直線に見つめている。その視線はとても熱い。直で受けたら絶対に蒸発してしまうくらいには。でもそれは、世の中で言う恋の到来を予感させるようなものじゃない。
確実に他人に恐怖を植え付けるものだ。
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けんまおし1016(プロフ) - とてもおもしろいです！少し文章の間を広くしてくれれば読みやすいと思います！ (2022年8月17日 19時) (
レス) @page3 id: 92260459e9 (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃ(プロフ) - コメント失礼致します！！読んでて凄くきゅんきゅんしました、！！！素敵な作品を本当にありがとうございます😭💕💕 (2022年8月14日 5時) (レス) @page21 id: c45d7c6a24 (このIDを非表示/違反報告)
ノンレム睡眠 - 前々から気になってた作品で読んでみるとど好みストレートでびっくりしました🙃 これからも愛読させていただきます！神作ありがとうございます🙌❤ (2022年8月12日 18時) (レス) @page21 id: 28b1a8c3b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Ir | 作者ホームページ：http://manaaa
作成日時：2022年7月16日 22時
